研究課題
テントウムシの鞘翅は、斑紋のパターンのみならず斑紋を構成する色彩においても多様性に富んでいる。多くのテントウムシは、ナミテントウのように警告色として機能する赤色と黒色からなる目立つ斑紋を持つ。このようなテントウムシの色彩は、いかに進化してきたのであろうか?そこで本研究では、テントウムシ鞘翅斑紋の色素分析を行った。これまでに、ナミテントウの鞘翅の黒色色素はメラニン、赤色色素はカロテノイドであることが判明している。そこで、各種テントウムシについても色素の分析を行った。まず黒色色素の分析では、テントウムシの蛹期の翅原基においてメラニン合成過程で作用するPhenoloxidase(PO)の活性染色を行った。その結果、実験したすべての種で鞘翅斑紋の黒色領域に一致したPO活性が見られた。次に、鞘翅斑紋の黒色色素以外の色素分析を行った。鞘翅のヘキサン抽出、アンモニア抽出、およびTLC分析の結果、カロテノイド系色素やプテリジン系色素を持つ種が存在することが示唆された。さらに、28SrDNAに基づきテントウムシの系統樹を作成し、テントウムシの系統発生における斑紋色素の獲得について考察した。また、ヘリグロテントウノミハムシを用いた解析により、メラニン生合成に関与する酵素遺伝子において、赤色斑紋の形成に必須の役割を果たす遺伝子を同定した。さらに、トランスジェニック・ナミテントウを用いた斑紋形成遺伝子群のレポーターアッセイを行うため、ナミテントウの紅型および斑型から斑紋プレパターン遺伝子のプロモーター上流域をクローニングした。
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昆虫DNA研究会ニュースレター
巻: 13 ページ: 17-23