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2011 年度 実績報告書

テントウムシに関連した擬態斑紋形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22380035
研究機関名古屋大学

研究代表者

新美 輝幸  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (00293712)

研究分担者 大場 裕一  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (40332704)
キーワードテントウムシ / 擬態 / 斑紋形成
研究概要

斑紋色素の同定を行う過程において、カメノコテントウの赤色色素に関する予想外の成果として、休眠覚醒と関連した長期低温処理により着色に変化が生じることを発見した。この赤色色素の変化は、長期低温処理中であるため、ほとんど摂食が認められない状態で生じた変化であり、食餌に含まれる色素あるいはその前駆体に由来する可能性は低く、テントウムシ体内で生じた何らかの変化によってもたらされた可能性が推察された。また、色素分析の結果、この赤色色素の変化にはプテリジン系色素が関わることが示唆された。成虫休眠するテントウムシにおいて鞘翅斑紋色素の変化に関する報告はこれまでになく、今回発見した現象は大変興味深いものである。
ヒメカメノコテントウにおいて、斑紋特異的な発現パターンを示す遺伝子の探索を行った。その候補として、キイロショウジョウバエで明らかにされた転写因子やシグナリング分子などのパターン形成遺伝子群に着目し、ヒメカメノコテントウの蛹期の鞘翅原基より18種類の遺伝子を新たにクローニングした。その結果、今回クローニングしたすべての遺伝子は、相同検索の結果いずれも目的とする遺伝子と高い相同性が認められ、目的の遺伝子がクローニングされたことが確認された。次に、今回クローニングした遺伝子の配列にもとづき二本鎖RNAを合成し、larval RNAi法を用いた遺伝子機能解析を行った。その結果、翅形成に影響を与えた遺伝子は13種類、鞘翅斑紋に顕著な影響を与えた遺伝子は2種類認められた。今回ヒメカメノコテントウからクローニングしたパターン形成遺伝子の相同遺伝子は、翅のパターン形成そのものだけでなく、鞘翅斑紋形成にも影響を与える機能をもつことは大変興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

若干遅れている研究項目もあるが、予想外の進展が見られた研究項目があった。

今後の研究の推進方策

若干の遅れがある研究項目については、重点的に取り組み当初の予定通り推進させる。その他については、研究計画通り遂行する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] テントウムシの斑紋形成メカニズムと進化2011

    • 著者名/発表者名
      新美輝幸・岡田駿吾・大場裕一・柳沼利信
    • 雑誌名

      昆虫と自然

      巻: 46 ページ: 5-9

  • [学会発表] テントウムシ亜科昆虫の鞘翅斑紋色素の多様性2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤彰紀・後藤久美子・大場裕一・柳沼利信・新美輝幸
    • 学会等名
      日本蚕糸学会中部支部第67回・東海支部第63回研究発表会ならびに特別講演会
    • 発表場所
      セラヴィリゾート泉郷(山梨県)
    • 年月日
      2011-11-24
  • [学会発表] テントウムシの鞘翅斑紋色素の多様性2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤彰紀・後藤久美子・大場裕一・柳沼利信・新美輝幸
    • 学会等名
      昆虫ワークショップ2011東北
    • 発表場所
      ZAOセンタープラザ(山形県)
    • 年月日
      2011-10-13
  • [学会発表] Molecular basis of wing melanization patterns and mimicry in ladybird beetles2011

    • 著者名/発表者名
      Niimi, T., Ito, A., Goto, K, Oba, Y., Yaginuma, T.
    • 学会等名
      Sixth International Symposium on Molecular Insect Science
    • 発表場所
      NH Grand Hotel Krasnapolsky, Amsterdam, The Netherlands
    • 年月日
      2011-10-04
  • [学会発表] 昆虫翅の起源と多様性2011

    • 著者名/発表者名
      新美輝幸
    • 学会等名
      282回昆虫学土曜セミナー
    • 発表場所
      岡山大学農学部(岡山県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-25
  • [学会発表] テントウムシ亜科昆虫の鞘翅斑紋の色素分析2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤彰紀・後藤久美子・原喜実子・大場裕一・柳沼利信・新美輝幸
    • 学会等名
      第47回日本節足動物発生学会
    • 発表場所
      琵琶湖リゾートクラブ(滋賀県)
    • 年月日
      2011-06-11
  • [図書] 地球からのおくりもの~生物多様性を理解するために~2011

    • 著者名/発表者名
      名古屋大学大学院環境学研究科しんきん環境事業イノベーション寄附講座編(分担執筆)
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      風媒社

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公開日: 2013-06-26  

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