研究課題/領域番号 |
22380039
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
神村 学 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫成長制御研究ユニット, 主任研究員 (60370649)
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研究分担者 |
門野 敬子 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム研究ユニッ, 上級研究員 (40355722)
宮本 和久 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫成長制御研究ユニット, 上級研究員 (10370686)
和田 早苗 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫微生物機能研究ユニット, 主任研究員 (50414959)
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キーワード | 遺伝子導入 / リポフェクション / トランスジェニック昆虫 |
研究概要 |
リポフェクションは、DNAを脂質との複合体にして無理なく細胞に取り込ませる簡便な遺伝子導入法で、培養細胞に対してよく用いられる。本研究では、(1)リポフェクションにより昆虫個体に様々な遺伝子を一過的に発現させてその機能を解析する技術を開発する、(2)リポフェクションをトランスポゾンを使った既存の遺伝子組換え技術と組み合わせることにより簡便にトランスジェニック昆虫作出する技術を開発する、という2種類の技術開発を行う。 2年目である本年度は、(1)においてより高い発現効率を実現するためと、(2)においてトランスポゾンをin vivo lipofectionに利用できるか確かめるため、トランスジェニック昆虫作出に常用されるトランスポゾンpiggyBacを用いたUAS/GAL4発現誘導系をin vivo lipofectionに利用できるか調べた。まず、アクチンA3プロモータの下流でGAL4遺伝子を発現させるpBac[A3-gal4]をUASプロモーターによりホタル・ルシフェラーゼを発現させるpBac[UAS-luc]とともに、in vivo lipofection法によりカイコの3齢0日幼虫に導入し、バキュロウイルスのIE2プロモーターにより直接ルシフェラーゼを発現誘導するレポーター・プラスミドpIZT-flucを導入した場合と、カイコ幼虫細胞でのルシフェラーゼ発現効率を比較したところ、piggyBacではpIZT-flucの数10分の1の値しか得られなかった。そこで、driverをヘルペスウイルスのトランス作動性タンパク質VP16の転写活性化ドメインを融合させたGAL4-VP16タンパク質遺伝子を発現させるpBacMCS[A3-gal4-VP16]に変えてみたところ、ルシフェラーゼ活性は大きく上昇したが、pIZT-fluc単独処理の値と比べるといまだ数分の1にとどまっていた。 このように、piggyBacベクターを使ったUAS/GAL4発現誘導系をin vivo lipofection法に利用できることが確認できたが、発現効率はまだ十分ではない。今後、さらに改良を重ねる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
期待していた通りの結果が得られていない部分もあるが、研究は計画通り進行しており、また、研究成果の発表も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
まだ、本法による外来遺伝子の発現効率は十分ではないので、さらに効率を高める試行錯誤を繰り返し、さまざまな遺伝子の機能解析を行う。
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