研究概要 |
今年度は、H23年度に生成したドラフトゲノムおよびトランスクリプトーム配列データを中心に自動アノテーション情報を付加して格納したコナガゲノムデータベース KONAGAbase (http://dbm.dna.affrc.go.jp/px/) の構築および一般公開を開始した。Bt菌Cry1Ac毒素の感受性系統(PxS)および抵抗性系統(PxR)のBt菌処理時および非処理時の中腸RNA-seq サンプルをそれぞれ生成し、発現量比較解析を行った結果、抵抗性系統において、(1)P450、Glutathion S-transferase, carboxylesterase等の代表的な薬剤代謝関連遺伝子の発現上昇はみられない、(2)感受性系統に対して、Cry1Ac毒素の受容体候補とされる ABC transporter (ABCC2) 遺伝子および aminopeptidase P-like 遺伝子の発現低下がみられる、等が分かった。これより、コナガのBt菌Cry1Ac毒素に対する抵抗性に薬剤代謝関連遺伝子は関与していない可能性が高いことがわかった。 また、コナガ系統の収集とCry1Ac毒素抵抗性系統の確立を図った。鹿児島市、熊本市、および東京都府中市よりそれぞれコナガを採集し系統化した。さらに、北海道農業研究センタ-より1系統(三重系統)を入手した。次に、すでに飼育している3系統も含めて、7系統より、Cry1Ac毒素を主成分とするBT剤を用いてCry1Ac毒素抵抗性個体の選抜を行った結果、1系統より1,000倍以上の抵抗性を示す系統(住化R)を選抜できた。また、他の1系統より約100倍の抵抗性を示す抵抗性系統(大わしR)が選抜された。
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