研究課題/領域番号 |
22380047
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永田 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30237531)
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研究分担者 |
津田 雅孝 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90172022)
大坪 嘉行 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (40342761)
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キーワード | 環境細菌 / 自然生態系 / 人為起源物質 / 細菌進化 / 微生物機能開発 |
研究概要 |
自然環境中に棲息する細菌の多くは既存の手法では培養困難であり、未開拓な微生物機能を従来の微生物学的手法で利用するのは難しい。近年盛んに行われている培養過程を介さないメタゲノム解析も、環境遺伝子の潜在能力は明らかにしているが、現段階では膨大な塩基配列情報を直接「機能」と結び付けることはできない。本研究では、従来の微生物学的手法で扱える培養可能な環境細菌が自然生態系で新規能力を獲得する機構を解明することで、潜在的微生物機能を有効利用するための分子基盤を確立することを目的とする。本年度は、前年度に引き続き「環境細菌」として、全ゲノム情報が判明し分子遺伝学的手法が確立している有機塩素系殺虫剤γ-HCH完全分解資化細菌Sphingobium japonicum UT26株、分解の鍵酵素遺伝子として、UT26株のγ-HCH分解代謝の初期過程に関与する脱ハロゲン酵素LinAとLinBをコードする遺伝子およびそのホモログを主な材料として、研究を進めた。主な成果は以下の通りである。(1)環境中での酵素進化に関する研究として、(i)LinBの構造的ホモログをデータベースの情報から取得し、人工合成した遺伝子を用いて機能解析を行った、(ii)LinB_UTとわずか7アミノ酸残基の違いにもかかわらず、β-HCH分解能が大きく異なるLinB_MIの詳細な解析を実施し、LinB_UTからLinB_MIへの機能進化に関わる知見を得た、(iii)LinBの酵素遺伝子進化の実験的検証を行う系の構築に成功した。(2)環境中での環境細菌のゲノム進化に関する研究として、UT26およびその類縁菌が有するプラスミドや挿入配列などの可動性遺伝因子が、ゲノム進化に重要な役割を果たしていることを強く示唆する知見を得た。(3)環境中での進化機構を利用した新規能力獲得細菌の育種のための基礎的知見を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境中での酵素進化およびゲノム進化に関する重要な基礎的知見の取得に成功し、最終年度に向けて現段階ではおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得た重要な基礎的知見を新規能力獲得細菌の育種という応用面に活かすよう尽力する。
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