研究課題
リポ蛋白質を外膜に輸送する機構には、5種類のLol因子が関与している。Lolシステムはグラム陰性細菌特有の機構であり動物細胞には類似の機構は存在しないので、以前から薬剤開発の有力なターゲットであることが指摘されていた。しかし、これまでの研究からはLolAを対象とする薬剤開発の可能性が示唆されていたに過ぎない。今年度の研究によって、ABCトランスポーターLolCDE複合体を構成する膜サブユニットLolCとLolEをターゲットとする薬剤について、その作用機構の概略を明らかにした。この研究成果は、LolCDE複合体の作用によってリポ蛋白質を細胞質膜から遊離する過程が、反応の律速段階にあることを示すものである。また、今後LolCとLolEの機能を詳細に解析する際に極めて有用な阻害剤が得られたと考えている。LolCとLolEは互いに全体構造がよく似た膜蛋白質である。しかし、LolCはLolAの結合サブユニット、LolEはリポ蛋白質の結合サブユニットであることが示されており、機能の分担がどのような構造の違いによるものか注目されている。薬剤に対する抵抗性の変異体がLolCとLolEについて分離されていることから、阻害剤の作用部位や、LolAやリポ蛋白質の結合部位が明らかになると期待される。LolCとLolEの部分構造と機能の相関については、光感受性架橋剤pBPAの導入結果と合わせて解析することでABCトランスポーターの2種類の膜サブユニットの解析が一層進展すると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Bacteriol.
巻: 197 ページ: 1075-1082
10.1128/JB.02352-14
巻: 197 ページ: in press
in press
http://www.morioka-u.ac.jp/UV_ns/tokuda_lab/study.html