研究課題/領域番号 |
22380052
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪井 康能 京都大学, 農学研究科, 教授 (60202082)
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研究分担者 |
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00283648)
奥 公秀 京都大学, 農学研究科, 助教 (10511230)
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キーワード | メタン / メタノール / メタン酸化菌 / 生長促進 / レドックス / オートファジー / 複合生物系 / メタノール資化性細菌 |
研究概要 |
地球上の炭素循環における炭素固定系の増強を目指し、メタンやメタノールを資化するC1微生物を中心とした植物-微生物複合生物系による有用機能の探索、その分子・情報の循環機構の解明に関する以下の3項目の研究を行った。 1.植物に常在するC1微生物の統括的な理解 メタン酸化菌Methylovulum miyakonenseのメタンでの生育とメタン酸化を促進するSinorhizobium属細菌が生産する低分子化合物としてコバラミンを同定し、他のメタン資化性細菌にも同様の効果を与えることを見出した。また、水田や湖沼などのメタン発生源に棲息するウキクサに、メタン酸化活性をもつ微生物コンソーシアムの存在を確認した。さらに、野菜葉に棲息するメタノール資化性細菌の分布を調べたところ、シソ葉に特に多く存在し、Methylobacterium fujisawaenseの近縁種が優先的であることを明らかにした。 2.C1化合物誘導発現・タンパク質合成・分解と植物表層におけるC1微生物の生存戦略 これまでに確立した植物葉上でのメタノール資化性酵母遺伝子発現解析や細胞数定量手法、生化学的解析手法を駆使し、メタノール濃度が日周変動する植物葉上での生存と増殖には、酵母メタノール代謝の中でも資化経路が必須であること、ペキソファジーを含むオートファジーが必須であることを明らかにした。 3.酵母グルタチオン合成・分解系を中心とした細胞内レドックス・転写制御 細胞内レドックスをin vivoで可視化できるレドックスフロールを、酵母グルタチオン生合成・再生系遺伝子破壊株に導入し、様々な炭素源培養時の細胞内レドックス状態を解析し、グルタチオン制御系の重要性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタン酸化菌のメタン酸化促進因子コバラミンの同定や、ウキクサからのメタン酸化微生物コンソーシアムの探索、メタノール資化性酵母の植物葉上での生存と増殖に必要な機能の同定など、当初の計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り研究を進めるとともに、新たに見出したシソとMethylobacterium属細菌との特異性に関わる研究や、酵母栄養センサーであるTorキナーゼの細胞内レドックス制御における役割に関する研究を進める。
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