研究課題
ペプチドは構成アミノ酸には見られない有用な生理活性あるいは新たな物性を示し、その必要性・重要性がますます認識されており、研究開発が盛んに行われている。特に最近、アラニルグルタミンは新たな発酵生産製品として注目されており、グルタミン源として輸液への利用が広がっている。血中ですみやかにグルタミンに変換され、水溶液中でも極めて安定で、溶解度がグルタミンに比べて圧倒的に高いという優れた性質を持っている。現在は主に化学合成法によってペプチドが生産されているが、保護基の導入・脱離工程が基本的に必須であるため、さらなる効率的な合成方法の開発が望まれていた。本研究では微生物が持っているジペプチドの合成酵素の探索とその応用を目指して研究を進めた。疎水性アミノ酸を含む一部のペプチド合成においてわずかにカルボキシペプチダーゼY、パパイン等のプロテアーゼを用いる方法が特許報告されているが、多量の酵素量添加、反応速度の低さ、汎用性の低さなど多くの課題を残している。これまでにペプチド合成方向に反応平衡が向いている転移型酵素の報告はごくわずかである。L-アミノ酸メチルエステルとL-アミノ酸を用いるジペプチドの合成活性を指標にしたジペプチド合成酵素ライブラリーの多様化を図るために、分解に関与するプロテアーゼ活性を低下させるためのスクリーニング系の改良を行った。研究室保存株約700株に対して15株に対してL-アミノ酸メチルエステルとL-アミノ酸から合成活性を検出した。また種々のペプチドを合成するためにアミノ酸を水酸化する活性を示す酵素を探索し、イソロイシンを水酸化し天然型4-ヒドロキシイソロイシンを効率的に生産し得る新規なジオキシゲナーゼの採取に成功した。
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Applied Microbiology and Biotechnology
巻: (in press) ページ: 1-10
巻: 88 ページ: 719-726