研究課題/領域番号 |
22380055
|
研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
越智 幸三 広島工業大学, 生命学部, 教授 (70353985)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 微生物遺伝・育種 / 休眠遺伝子 / 放線菌 / RNAポリメラーゼ / 希土類元素 |
研究概要 |
平成24年度は、最終目標の達成に向けて「変異型RNAポリメラーゼの利用」、「天然の変異型RNAポリメラーゼ遺伝子の利用」、「希土類元素の利用」の三つの切り口から研究を遂行した。これらの成果は、今年度J.Bacteriol.など6つの国際的有力誌に掲載の運びとなった(以下の「研究発表」の項を参照)。 1.変異型」RNAポリメラーゼの利用:Streptomyces griseusなど7種の放線菌からそれぞれ8種ないし12種の様々なRNAポリメラーゼ変異(rpoB)株をリファンピシン耐性変異株の中から見い出すことができた。各々のrpoB変異株の抗生物質の生産能を試験した結果、H437RとH437Y変異が抗生物質生産力アップに有効であるという一般則を見い出すことに成功した。加えて、これらH437RとH437Y変異は放線菌が内包する様々な「休眠遺伝子」の覚醒にも有効であることを二次代謝産物生合成をコードする休眠遺伝子の転写レベルでの活性化(最大70倍にアップ)で確認した。 2.天然の変異型RNAポリメラーゼ遺伝子の利用:天然の変異型RNAポリメラーゼ遺伝子を保有する株は、特に人為的な操作を加えなくても休眠遺伝子が活性化されていると予想できる。そこで、昨年度までに自然界から取得した天然の変異型RNAポリメラーゼ遺伝子保有株を培養し、目下新抗生物質の発見を試みている。 3.希土類元素の利用:S.griseusが有する15の休眠遺伝子を例にとり、これら休眠遺伝子群はpH、酸素、温度、薬剤、重金属など30項目にわたる様々なストレス付与においても全く活性化せず、正に休眠遺伝子と呼ぶべきものであることを実証した。次に、そのような休眠遺伝子であっても、希土類元素(スカンジウム、ランタン)をsublethal濃度で添加することにより明らかな活性化効果(3-5倍)があることを見い出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スクリーニングおよび生理学的な解析は予期した以上に進展しているが、大学の設備等の問題もあって、分子生物学的解析にやや遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は分子生物学的解析に益々力を注ぎ、研究の深化を図ってゆく。また、今年度は最終年度にもあたるので、3つのサブテーマ全てで当初目標を達成できるよう努力する
|