研究概要 |
1.シロイヌナズナ茎をメスで切り取った際に漏れ出る溢泌液の採取の最適化を行った。シロイヌナズナ野生株、athkt1、atnhx1変異株、athkt1とatnhx1の二重変異株を用いて、Na高濃度培地における表現型の検討から塩ストレス感受性の原因はathkt1変異と確認された。 2.酵母にAtHKT1とAtNHX1を共発現させて、Na輸送と液胞内のNa蓄積にともなう液胞体積と細胞体積の比較を行うため、酵母の原形質膜と液胞膜のNaおよびK輸送体遺伝子の不活化を行ったが、4重変異株が得られなかった。次に、酵母のNa輸送体遺伝子の不活化(原形質膜Na排出系ena1-4および液胞膜Na/Hアンチポーターnhx1)を行い、その酵母変異体にAtHKT1とAtNHX1を導入した。Na高濃度培地、ソルビトール高浸透圧の影響はなかった。 3.耐塩性に関与するAtKUP1の遺伝子発現が塩ストレスなどのセンサーとして知られている転写因子のb-ZIPに制御されている可能性を検証した。シロイヌナズナのb-ZIP転写因子の中でも乾燥や塩ストレスで活性化する転写因子(AtHB5,6,16)を候補遺伝子としてAtKUP1発現誘導を検討した。膜浸透性のデキサメタゾンを植物に添加することによって、不活性型から活性型へコンフォメーション変化するデキサメタゾン結合タンパク質に、AtHB5,6,16を融合したタンパク質遺伝子の構築を行い、シロイヌナズナに導入した。同時にAtKUP1プロモーター発現活性をレポーター遺伝子GUSに連結したプラスミドDNAを作成して、シロイヌナズナに導入する。転写因子の活性をデキサメサゾンの添加の有無によGUS活性の変化は検出できなかった。 4.Na耐性に関与しているAtHKT1の発現調節機構の検討のために、athkt1のプロモーター活性を検討するGUS融合遺伝子の構築を行った。
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