研究課題
炎症性サイトカインであるtumor necrosis factor-α(TNF-α)やinterleukin-1α(IL-1α)は、転写因子nuclear factor κB(NF-κB)のシグナル伝達経路を活性化し、intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)等の様々な遺伝子の発現を誘導する。トリエン-アンサマイシン(triene-asnamycin)系化合物の一つであるマイコトリエニンII(mycotrienin II)は、ヒト肺がん腫A549細胞において、IL-1αに比べてTNF-αによって誘導される細胞表面のICAM-1発現を強く阻害した。マイコトリエニンIIは、DNA合成やRNA合成に影響しない条件下でタンパク質合成を選択的に阻害し、無細胞翻訳系においても阻害活性を示した。幾つかのトリエン-アンサマイシン系化合物は、マイコトリエニンI1と同様に、ICAM-1の発現誘導および無細胞翻訳系を阻害した。以上の結果から、トリエン-アンサマイシン系化合物は、タンパク質合成阻害剤として、炎症性サイトカインによるICAM-1発現を阻害することが明らかになった.サイトトリエニンA(cytotrienin A)は、マイコトリエニンIIの構造類縁体である。サイトトリエニンAは、マイコトリエニンIIと同様に、IL-lαに比べてTNF-αによる細胞表面のICAM-1の発現を選択的に阻害した。サイトトリエニンAは、TNFα-converting enzyme(TACE)によるTNFレセプター1のエクトドメインシェディングを誘導した。TACE阻害剤TAPI-2は、ICAM-1発現に対するサイトトリエニンAの選択的な阻害活性を抑制した。さらに、MEK阻害剤U0126およびp38MAPキナーゼ阻害剤SB203580の存在下では、サイトトリエニンAによるTNFレセブター1のエクトドメインシェディング、並びにICAM-1発現に対するサイトトリエニンAの選択的な阻害活性が抑制された。以上の結果から、サイトトリエニンAはERKとp38 MAPキナーゼの活性化を介して、TNFレセプター1のエクドドメインを誘導し、TNFαによるICAM-1発現を選択的に阻害することが明らかになった。
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