研究課題
トリコテセン系マイコトキシンは、真核生物の翻訳を阻害するだけでなく、MAPキナーゼスーパーファミリーの活性化を介して、遺伝子発現を調節している。ヒト肺がん腫A549細胞において、デオキシニバレノールと3-アセチルデオキシニバレノールは、TNFレセプター1のエクトドメインシェディングを誘導した。デオキシニバレノールは、添加後5分から30分にかけてERK1/2のリン酸化を亢進させた。一方、p38 MAPキナーゼは、デオキシニバレノールの添加後5分以内にリン酸化され、2時間後までリン酸化されたままであった。さらに、MEK阻害剤U0126とp38 MAPキナーゼ阻害剤SB203580によって、デオキシニバレノールによるTNFレセプター1のエクトドメインシェディング、並びにTNF-α応答性のICAM-1の発現誘導が抑制された。以上の結果から、デオキシニバレノールは、ERKとp38 MAPキナーゼの活性化を介してTNFレセプター1のエクトドメインシェディングを誘導することが明らかになった。オイデスマン骨格を有するセスキテルペンであるsantonin-related compound 2 (SRC2)は、TNF-α刺激によって誘導されるNF-κBサブユニットp65/RelAの核移行を阻害する。p65のN末端には、DNA結合、二量体化、核内移行等に重要なRel homology domain (RHD)が存在している。p65のRHDに含まれるCys-38をSerに置換したp65(C38S)変異体を作製し、p65(C38S)を安定発現させたA549細胞を構築した。その結果、野生型p65に比較して、p65(C38S)の核移行に対するSRC2の阻害作用が低下していた。以上の結果から、SRC2はp65のCys-38に作用することによって、p65の核移行を阻害することが明らかになった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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