研究概要 |
我々は超好熱アーキア(Pyrococcus horikoshii)RNase Pが、触媒活性を持つRNA(PhopRNA)と5種のタンパク質(PhoPop5, PhoRpp21, PhoRpp29, PhoRpp30, PhoRpp38)から構成され、PhoRpp38を除く4種のタンパク質とPhopRNAからなる再構成酵素(R-4P)が55℃で最大酵素活性を示すのに対し、5種のタンパク質とPhopRNAを含む再構成酵素(R-5P)は70℃で最大酵素活性を示すことを明らかにした。また、蛍光標識した相補的塩基配列を持つ2本のRNA鎖(21 nt)(Cy3-オリゴ-1とCy5-オリゴ-2)を用いた実験より、PhoPop5とPhoRpp30がRNAの会合と解離をともに促進することを見出し、これらの活性がPhopRNAの活性化に関与していることを示唆した。さらに、PhopRNAのヘリックスP3とP8を含む2本のステムループ構造の変異体(ΔP3とΔP8)を作成し、触媒活性への関与について検討したところ、変異体ΔP8では、kcat は変化しなかったがKMは49.2 μMに増加し、ΔP3ではKMは変化しなかったがkcatが0.89 min-1に減少した。この結果より、P3は触媒活性に関与しているのに対して、P8はpre-tRNAとの相互作用に関与していることが明らかになった。最後に、ΔP3あるいはΔP8を含む再構成酵素のグリセロール密度勾配遠心法を行ったところ、ΔP8を含む再構成酵素には5種のタンパク質が検出されたが、ΔP3を含む再構成酵素にはPhoPop5とPhoRpp30が検出されなかったことから、P3ステムループ構造がPhoPop5-PhoRpp30複合体の結合部位として機能していることが示唆された。
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