研究概要 |
シロイヌナズナのPABN1のストレス応答における機能をあきらかにするため,ストレス応答発現を解析したところ,転写産物やタンパク質が低温、塩、乾燥、ABAなど様々なストレス条件下で蓄積することが判明した。次に,ABRCストックセンターより入手したPABN1(At5g51120)のT-DNAが挿入ノックアウト変異体を用いてストレス耐性の検討を行った.低温馴化植物体の一12℃凍結処理後生存率で比較した場合野生株が91.6%であるのに対して,pabn1-1変異体では33.3%であり,耐凍性が低下していることが明らかとなった.また,耐塩性においても,190mMNaCl含有培地における生存率が野生株の96%に対してpabn1-1変異体では80%と低下していた.次においては耐凍性と耐塩性においてけるストレス耐性を検討した.AtPABN1遺伝子の欠損株pabn1-1は野生株と比較して耐凍性及び耐塩性が著しく低下していた。次に,カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)35Sプロモーターを付加したPABN1のconstructをアグロバクテリウムを介して導入し、形質転換体を作出した。ホモ系統の過剰発現株を選抜後,Semi-quantitative RT-PCRを行い、PABN1遺伝子が過剰発現していることを確認した。過剰発現体の耐凍性を調べたところ,一14℃凍結処理後の生存率が野生株では0%であるのに対して,過剰発現株では33%であった。また耐塩性試験では200mMNaCl含有培地での生存率が野生株の0%に対して,3つのラインで12-60%の生存率を示した.更に乾燥耐性についても顕著な向上が観察された.
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