研究概要 |
本研究は,植物原形質膜タンパク質に結合する抗体のサブライブラリーを作成し,これらを植物にランダムに発現させ,各膜タンパク質の機能が抑制された植物を調製することにより,膜タンパク質の機能を解析することを目的としており,また,そのモデル系としてブラシノステロイド受容体BRIに対する抗体を導入した植物の調製と解析を企画した。本年度は,サブライブラリーの質を評価するため,膜タンパク質を用いたパニング操作によって抗BRI抗体が濃縮されていることの確認,また,抗BRI抗体を導入した植物の調製を行った。 ・抗BRI抗体を提示するファージをPCRにより容易に検出できるよう,その他のファージミドベクターには無い配列を導入し,PCRによって区別して検出できることを確認した。しかし,パニングによって濃縮されたファージからは,抗BRI抗体を持つベクターは検出されなかった。膜タンパク質の調製に問題があると考え,種々の検討を行ったが,問題は解決しておらず,おそらくBRIの存在量の低さ,あるいは不安定さによるものと考えられる。 ・抗BRI抗体遺伝子を,分泌シグナル・GFP・抗体遺伝子・エピトープタグ・小胞体残留シグナルのキメラとして,CaMV 35Sプロモータ制御下で発現するベクターを作成し,シロイヌナズナに導入し,形質転換体を選抜した。第一世代は矮性の形質を示すラインが複数個体得られた。
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