研究概要 |
(1) 新戦略に基づくガングリオシド合成法の革新と応用:分子内グリコシル化を鍵反応とする大環状グルコシルセラミドアクセプターの開発を行い、a-系列ガングリオシドGM3,GM2,GM1の系統的カセット合成に成功した(Tetrahedron Lett.,51,1126-1130,2010)。これらの人工ガングリオシドは、標的指向性グライコリポソーム(グライコリポ)の構成成分として実用化された。 (2) 自己免疫性神経疾患に関係する新奇ガングリオシドの全合成と高度利用:上記の新規ガングリオシド合成法を応用して、自己免疫性神経疾患に関係するGalNAc-GDla及びALS様神経疾患に関係するハイブリッド型ガングリオシドの全合成に世界で初めて成功した(Chem.Eul.J.,17,588-597,2011)。 (3) CD22(Siglec-2)高親和性リガンドの開発:ビオチン化シアロ糖鎖プローブ(GSC-660)を用いたin vitroスクリーニングによって、MAG(Siglec-4a)と選択性を有する新たなCD22高親和性リガンドの開発に成功した(Bioorg.Med.Chem.,19,1966-1971,2011)。 (4) シアロ糖鎖を足場とするウィルス感染機構の解明と新規シアリダーゼ阻害剤の創製:新型パンデミックA(H_1N_1)インフルエンザウィルスのシアロ糖鎖結合特異性、ならびに、H3N8型ウィルスの感染及び病原性について解析し(J.Virol.,84,12069-12074,2010;Influenza and Other Respiratory Viruses,4,345-351,2010)、新規シアリダーゼ阻害剤の開発を行った(Anti-Infective Agents in Medicinal Chemistry,9,198-204,2010)。
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