研究概要 |
(1)シアロ糖鎖を足場とするマイコプラズマ滑走運動の分子機構を明らかにするために、16種の人工糖鎖を用いて、マイコプラズマ滑走運動におけるシアル酸オリゴ糖の認識特異性と結合親和力を解析した。その結果、マイコプラズマの足(legs)が、錠と鍵(lock-and-key)様式でシアロ糖鎖を捕まえて滑走していることが明白となった(Journal of Bacteriology, 195, 429-435, 2013)。また、H5N1型トリ・インフルエンザウィルスのヘマグルチニン変異とヒトへの感染機構を分子細胞レベルで解析した(Virology, 447, 326-337, 2013)。 (2)人工合成した天然型及びファイトスフィンゴシン・セラミドを含むガングリオシドGM3を膜構成成分とし、その膜表面にシアリルルイスX糖鎖を結合させたグライコリポソームを作製した。次いで、その内部にエリスロポイエチン(EPO)を封じ込めて心臓の炎症性サイトに送達させるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)を確立した(Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol., 304, H1124-1133, 2013)。 (3)グルコシルセラミド誘導体を最終のグルコシル化アクセプターとする「カセット合成法」を応用することにより、ガングリオシドGalNAc-GM1bの全合成に初めて成功した(Molecules, 18, 15153-15181, 2013)。
|