研究課題/領域番号 |
22380070
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 博 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70198894)
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研究分担者 |
比良 徹 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10396301)
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キーワード | GLP-1 / 消化抵抗性糖質 / 難消化性ペプチド / インクレチン |
研究概要 |
初年度において、一部の消化抵抗性糖質が消化管内分泌細胞株においてGLP-1の分泌を促進する作用があること、ならびにラットにおいてトウモロコシペプチドの経口投与により血糖上昇が抑制されること、が見いだされ、それら研究成果をもとに、以下の検討を行った。 <消化抵抗性糖質のラット腸管におけるGLP-1分泌作用の検討> 消化管内分泌細胞株においてGLP-1分泌促進作用を示した消化抵抗性糖質を、麻酔下においてラット腸管内に直接投与し、門脈に留置したカテーテルより経時的に採血し、GLP-1濃度を測定したところ、投与直後ならびに遅延性の血中GLP-1濃度上昇が観察され、消化抵抗性糖質が腸管内で直接的にGLP-1分泌を促進する作用を持つことが示唆された。 <消化抵抗性糖質の経口投与に対するGLP-1分泌応答の検討> 上述の消化抵抗性糖質をラットに経口投与し、頸静脈に留置したカテーテルより無麻酔下で経時的に採血したところ、血中GLP-1濃度は遅延性の上昇を示した。同用量の可消化性糖質(デキストリン)では血中GLP-1濃度の上昇は見られず、この消化抵抗性糖質が単回の経口投与でもGLP-1分泌を促進することが明らかとなった。 <トウモロコシペプチドの経口投与下でのGLP-1分泌促進作用の検討> 回腸に直接投与することでGLP-1分泌を促進するトウモロコシペプチドを、ラットに単回経口投与し、頸静脈より経時的に採血する試験により、GLP-1の分泌促進作用が確認された。さらに、もう一つのインクレチンであるGIPの分泌も促進されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消化抵抗性糖質ならびにトウモロコシペプドのGLP-1分泌促進作用をin vivoにおいて示すことができた。さらにトウモロコシペプチドの新たな生理作用として、もう一つのインクレチンであるGIPの分泌促進作用を見いだした。これらの理由により②とする。
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今後の研究の推進方策 |
単回投与でGLP-1分泌促進作用が見られた消化抵抗性糖質を飼料に添加し、これを長期間摂取することで、GLP-1の分泌、産生に変化が見られるかをラットを用いて検討する。さらに、その際にトウモロコシペプチドの単回投与や食後のGLP-1分泌応答を調べ、増強作用が見られるかを検討する。
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