研究課題
油脂は無味ながら食品の嗜好性を左右する最も重要な要因である。しかし油脂に対する高い嗜好性のメカニズムは不明の点が多い。特に、摂取した油脂の口腔内での受容機構は未解明である。本研究では、油脂の化学的シグナルを担っている脂肪酸の口腔内受容機構について、舌の有郭乳頭に発現している7回膜貫通型Gタンパク共役受容体の1つであるGPR120の生理的な関与をノックアウトマウスを使った行動科学的手法を用いて明らかにする。GPR-120ノックアウトマウスを使った行動科学的手法を用いて、油脂の受容機構を解明することを目的としている。GPR120が口腔内の脂肪酸センサーとして、油脂の嗜好性に関与していると考え、生理的な関与を確かめるためにGPR120のノックアウトマウス作成に成功した。マウスは行動実験に適しているBALB/Cを用いた。作成したノックアウトマウスを実験に用いることができる頭数になるように繁殖を続けた。このマウスを用いて基礎的な検討を行ったところ、GPR120のみの欠損では、動物の成長には明らかな違いが観察されず、油脂に対する嗜好性にも顕著な減退はなかった。油脂に対する嗜好性や選択のための認識には、GPR120のみならず、複数の要因が多面的に関与しているものと思われる。油脂の認識には、これまでCD36が部分的に関与していることを明らかにしてきたが、当該年度の結果を踏まえて、GPR120のみならず複数の脂肪酸受容機構の関与の可能性を考えて研究戦略を再構築している。
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http://www.nutrchem.kais.kyoto-u.ac.jp/