腸管上皮細胞での脂肪酸酸化亢進が、動脈硬化のリスクファクターとして近年、注目されている食後高脂血症を抑制するのではないかという仮説の立て、平成22年度は、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR-alpha)の活性化による脂肪酸酸化亢進が食後高脂血症にどのように影響するかについて焦点を絞り、研究を進めた。 PPAR-alphaを活性化する薬剤であるベザフィブレートをマウスに1週間、高脂肪食条件下で摂取させると、腸管上皮細胞での脂肪酸酸化に関わる遺伝子群が有意に上昇した。さらに、放射性同位体ラベルされた脂肪酸を用いた脂肪酸酸化量の評価により、ベザフィブレート摂取マウスの腸管上皮細胞では、脂肪酸酸化が有意に上昇した。これら脂肪酸酸化関連遺伝子群の発現上昇ならびに腸管上皮細胞の脂肪酸酸化の亢進が認められる条件下で、このマウスにオリーブオイルを経口投与した後の血中中性脂肪濃度の上昇は、コントロールマウスに比べて有意に抑制された。これらのことから、腸管上皮細胞での脂肪酸酸化の亢進により、食後高脂血症を抑えることが可能であることが示された。 現在、上記の成果を論文として投稿中である。
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