樹木のほとんどの細根には菌根菌が共生している。菌根が枯死・脱落することで年間に土壌中に供給される有機物の量は、地上部から供給される落葉や落枝の量を上回ると考えられているが、その分解課程についてはほとんど分かっていない。本研究では、樹木の菌根をメッシュバックに入れて林地に埋設し、その後の分解過程を2年間にわたって追跡調査した。その結果、菌根は葉に比べて分解速度が何倍も遅く、95%分解されるまでには約20年必要であると推定された。また、分解に伴って重量や炭素量は減少したものの、窒素量は逆に増加する傾向を示した。また、菌根の分解過程においてどのような微生物が関与しているのかについても新規知見を得た。
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