研究課題
自然界において生物は、有機物から成る「足場」上に有機物や無機物を堆積させることにより、有機/有機や有機/無機複合体を低エネルギー消費で構築する。とくに有機/無機の機構はバイオミネラリゼーションと呼ばれ、貝殻や骨の形成が典型的な例であるが、いずれも低エネルギー型の材料形成プロセスである。このプロセスでは、パターンを有する足場やイオン供給源として働く有機物の機能により、堆積する物質の形態が制御される。本課題では、植物細胞壁の構成成分で、OH基由来の親水部とCH基由来の疎水部とを有する両親媒性の天然高分子であるセルロースを用いて足場テンプレートとし、その上に上記の生物システムを模倣した「三次元のバイオミミックファブリケーション」を行おうとするものである。そのため、昨年度から本年度にかけて、これまでに開発した、水に膨潤したセルロースゲルを一軸方向に延伸して得られるネマチックオーダーセルロース(NOC, nematic ordered cellulose)基板由来のアニオン性表面をもつ足場に、強制的にリン酸アニオンをホスト-イオンとして包接・固定化させた。次にこれを足場として、カルシウムイオンとのホスト-ゲスト反応により、骨の主成分であるリン酸カルシウムのバイオミネラリゼーションを促すという新たなプロセスのデザインに成功した。同時に、そのアニオン性極表面に正のカルシウムカチオンを固定させ、ゲスト-リン酸アニオンと反応させるという対照的なプロセスを検討し、その比較から本ユニークなバイオミネラリゼーション機構(ホスト-ゲスト バイオミネラリゼーションと名付けた)の提案に至った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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