研究課題
JASで求められている構造用集成材の積層接着用に使用する接着剤の耐火性能確認のための簡易耐火試験法開発の一環として、耐熱性に劣る酢酸ビニル樹脂接着剤を用いて積層接着した実大寸法の集成材梁を作製し、45分間の載荷加熱試験を実施し、レゾルシノール樹脂接着剤を用いて積層接着した場合との比較検討を行った。酢酸ビニル接着剤を用いた集成材は、梁幅方向に比べて梁背方向の炭化速度が速く、試験開始41分に破壊の兆候が見られたため試験を中止した。これは、酢酸ビニル樹脂接着剤は、レゾルシノール樹脂接着剤に比べて耐熱性が低く、炭化したラミナの脱落が早いことが原因と推測され、耐熱性に劣る接着剤を使用した集成材の火災時の挙動を確認することができた。載荷加熱試験に際し、耐熱性の低い接着剤を使用した集成材の場合は、ラミナの脱落に伴う炭化の進行が早くなることが明らかとなったことから、準耐火構造における燃えしろ設計が可能かどうかを評価するための簡易耐火試験においては、ラミナの脱落が再現でき、梁背方向の炭化の進行が評価できる試験法が望ましいことがわかった。また、各接着剤の粘弾性の測定など、接着剤の接着性能試験も併せて実施した。
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