研究課題/領域番号 |
22380100
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
原田 寿郎 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353818)
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研究分担者 |
秦野 恭典 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 領域長 (90353812)
井上 明生 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 室長 (10353591)
宮武 敦 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, チーム長 (20353873)
上川 大輔 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 研究員 (30409651)
新藤 健太 独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 主任研究員 (10414484)
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キーワード | 構造用集成材 / 接着剤 / 耐火性能 / 簡易評価法 |
研究概要 |
JASで求められている構造用集成材の積層接着用に使用する接着剤の耐火性能確認のための簡易耐火試験法開発の一環として、ラミナの厚み及び接着剤の種類が耐火性能に及ぼす影響を明らかにするため、厚さが22mmと13.4mmの2種類のラミナを用い、レゾルシノール系樹脂接着剤(RF)、水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤(API)及び酢酸ビニル系樹脂接着剤(PVAc)で積層接着した実大寸法の集成材梁を作製して45分間の載荷加熱試験を行った。 耐火試験の結果では、ラミナ厚さの影響は小さく、RFとAPIはほぼ同等、PVAcでは45分準耐火の性能は得られなかった。PVAcではラミナの脱落が早く、炭化の進行やたわみの増加が大きいことが、この結果の要因と推測されたので、同じ断面寸法の小ブロックの試験体を用いて、無載荷でのISO834の加熱曲線に準拠した加熱試験を行い、45分加熱終了後の炭化深さを実大試験の結果と比較したが、この無載荷での簡易試験ではラミナの脱落による梁成方向の炭化の進行が再現できなかった。そこで、接着剤の耐熱性と集成材の耐火性能の関係を明らかにするため、使用した接着剤について、室温~200℃で加熱圧縮ブロックせん断試験を行ったところ、いずれの接着剤も温度上昇に伴って接着せん断強さは低下し、100℃、150℃ではRF>API>PVAcであったが、PVAcは150℃でほぼ0であり、この差異がPVAc集成材の耐火性能低下の原因であると推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高温時の性能が異なる3種類の接着剤について、接着剤一接着強さの温度依存性のデータが得られ、集成材の耐火性能との相関が得られる見通しがついたことは、構造用集成材に使用する接着剤に必要とされる性能を把握する上で大きな前進であり、簡易試験法の開発を目指す本課題の成果として、非常に重要な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
接着剤の種類をさらに増やして、実大載荷加熱試験、ブロックせん断試験を行ってデータを蓄積するとともに、耐火試験時の集成材の内部温度変化から、使用する接着剤の性能と集成材の耐火性能の関係を解明し、集成材の耐火性能を支配する接着剤の性能を特定する。また、その結果に基づき、実大載荷加熱試験に代わる簡易な試験方法を提示する。
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