研究課題
魚類の卵構成成分の合成や蓄積は卵質を左右する重要な過程であるが、その詳細および制御機構については未解明な点が多い。本研究は魚卵成分である「卵黄球」と「油球」の形成機構を明らかにすることを目的とした。1.哺乳類細胞及び魚類細胞を用いて、マガレイのビテロジェニン受容体(VgR)の組み換え蛋白質発現を試みた結果、前者ではVgRは発現したもののVg結合性は確認できず、後者ではVgR発現が確認できなかった。また、哺乳類細胞を用いて、カットスロートトラウトのVgRを、同受容体の機能化に重要と考えられるシャペロン候補と共発現したが、発現したVgRにVg結合性はなかった。2.カットスロートトラウトの卵巣からクローニングされた新規リポ蛋白質受容体(LR13+1)について、卵巣における遺伝子発現及び蛋白発現性状を解析した結果、VgRとほぼ同様であることを確認した。3.ドジョウVgサブタイプの複数性について新たな知見を得た。チョウザメより2種Vgの完全長cDNAクローニングを完了した。また、ヌタウナギVgのプロモーターアッセイを完了した。4.カットスロートトラウトの血漿アポリポ蛋白質成分の一部をLC-MS/MS解析により同定した。一方、本種リポ蛋白質の脂質部位・蛋白部位に異なる蛍光標識を施し、ゼブラフィッシュに投与したところ、両部位に由来する蛍光が卵母細胞内に確認された。本年度の成果により、魚類VgRのリガンド結合機能獲得に関連する未知因子の存在が示唆された。また、新規リポ蛋白質受容体を含む複数の受容体がVgの卵母細胞への取り込みに関与すると考えられた。魚類・円口類のVgやその合成機構の多様性に関する知見が深化された。更に魚卵の油球形成に関与する因子群について新規知見を得た他、魚種による油球形成機構の相違も明らかになった。本成果は魚類の多様な卵黄・油球形成機構を解明するための基礎知見を提供した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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