研究課題/領域番号 |
22380104
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 徹 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70344330)
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研究分担者 |
横井 勇人 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (40569729)
宇治 督 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所, 研究員 (40372049)
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キーワード | 異体類 / 左右非対称性 / 発生 / 変態 / ノダル経路 / ヒラメ / 増養殖 / 形態異常 |
研究概要 |
本研究では、ヒラメ・カレイ類に固有な眼の配置および体色の左右差形成の発生制御機構を解明するとともに、健苗育成技術開発に資することを目的として、外部環境要因(栄養素、水温、日照等)が眼位や体色、骨格系に発生異常を誘起するメカニズムを解明する。これまでの研究により左右決定遺伝子pitx2が変態期に脳内左側で発現し、眼位を制御することを明らかにしたので、今年は変態ホルモンが再発現の誘導に関与する可能性を試験した。pitx2の発現調節領域(左特異的エンハンサー)の配列を解析した結果、甲状腺ホルモン受容体あるいはコルチゾル受容体が結合する応答配列が存在することを発見した。さらにコルチゾルにpitx2の発現誘導効果が認められたことから、変態ホルモンによる発現調節機構のあることが示唆された。 左右に形成された両眼のうち、変態期にヒラメでは右眼が、カレイ類では左眼が反対体側に移動するが、ヒラメとカレイで眼位を逆に振り分ける発生システムについて検討するため、頭部で最初に細胞増殖がヒラメとカレイで左右逆に発生する領域を調べた。増殖細胞核抗原PCNAの免疫染色により、視交叉の直上の間脳下部で最初にヒラメとカレイで左右逆な細胞増殖域が発生することを発見した。このような差異を発生する原因として、ヒラメでは右眼由来の視神経束が必ず背側を通るのに対し、カレイでは左眼由来の視神経束が必ず背側を通るため、視交叉直上の間脳に左右逆の捻れが発生することが考えられた。 日照と色素形成との関係を検討するための墓礎データとして、魚類ではこれまで不明であった脳内時計の位置を時計遺伝子period 2(per2)の発現により解析した。その結果、視交叉上核、松果体基部、脳下垂体にper2が発現することが示され、これらの部位が概日リズムを刻む体内時計として機能することが示唆された。
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