• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

クロマグロ住血吸虫症の対策に向けての基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 22380105
研究機関(財)目黒寄生虫館

研究代表者

小川 和夫  (財)目黒寄生虫館, (財)目黒寄生虫館, 館長 (20092174)

研究分担者 良永 知義  東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (20345185)
澤田 好史  近畿大学, 付置研究所, 教授 (80319764)
キーワード住血吸虫 / クロマグロ / 害作用 / プラジクアンテル / 対策
研究概要

近年、各地で展開されているクロマグロ養殖において,住血吸虫の寄生による被害が深刻になっているが,対策は確立していない。一方で、一部に未承認薬が駆虫剤として用いられている実態があり、食の安全上の問題となっている。そこで、クロマグロの安全かつ安定的な養殖生産に資することを目的として、本症を防除するための基礎研究を行う。
平成23年度には以下の実験を行い,成果を得た。1)駆虫実験:感染の確認されたグロマグロ幼魚10-50尾を小型の網イケスに収容し,プラジクアンテル(PZQ)製剤の経口投与による薬剤有効性試験を行った。その結果,心室に寄生する住血吸虫Cardicola opisthorchisは7.5mg/kg魚体重以上の用量の3日間連続投与で完全に駆虫されることを確認した。2)住血吸虫の虫卵による種鑑別および害作用の評価:鰹弁内に集積した虫卵の形態と遺伝子解析により,虫卵の形態によって2種を鑑別する方法を開発した。それによって,Cardicola orientalis卵は鰐薄板内に,C. opisthorchis卵は主として小入鯉動脈内に集積することを明らかにした。また,虫卵集積による害作用を病理組織学的に評価した。3)住血吸虫の人工培養液中におけるPZQの有効性評価:クロマグロの住血吸虫2種(C. orientalis, C. opisthorchis)を無傷のまま十分の数を準備することが困難であったため,コモンフグの内臓血管に寄生する住血吸虫Psettarium sp.に対するPZQの有効濃度を求めた。その結果,L-15培地内ではPZQ 0.2ppmを24時間以上作用させると全身運動を呈した。1ppmで24時間以上,5ppmで3時間以上の処理では死亡する虫体が認められ,薬剤無添加培地に戻しても,回復は限定的であった。薬剤処理した虫体のSEM像では,虫体の委縮や外被の傷害が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は住血吸虫症の防除法を確立することであるが,これまでに虫卵の形態による種鑑別法,害作用,プラジクアンテル製剤の経口投与法や有効濃度についてほぼデータを取り終えた。

今後の研究の推進方策

平成24年度は研究の最終年度であるため,より実際の養殖に近い状態で投薬を行い,プラジクアンテル経口投与の有効性と安全性を確認する。また,駆虫後に再感染を受けたマグロが見られたことから,投薬後に定期検査をすることによって,マグロへの再感染が確認され始める時期,住血吸虫に対する免疫獲得の有無を検証し,投薬スケジュールを決定するためのデータを集める。Cardicola opisthorchisに対するin vitroにおけるプラジクアンテルの有効濃度、有効作用時間を明らかにする。研究計画の変更や研究遂行上の問題点は特にない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Morphology and distribution of blood fluke eggs and associated pathology in the gills of cultured Pacific bluefin tuna, Thunnus orientalis2012

    • 著者名/発表者名
      Shirakashi, S., Y. Kishimoto, R. Kinami, K. Katano, K. Ishimaru, O. Murata and K. Ogawa
    • 雑誌名

      Parasitology International

      巻: 61 (2) ページ: 242-249

    • DOI

      DOI: 10.1016/j.parint.2011.10.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oral treatment of praziquantel as an effective control measure against blood fluke infection in Pacific bluefin tuna (Thunnus orientalis)2012

    • 著者名/発表者名
      Shirakashi, S., et al
    • 雑誌名

      Aquaculture

      巻: 326-329 ページ: 15-19

    • DOI

      10.1016/j.aquaculture.2011.10.035

    • 査読あり
  • [学会発表] クロマグロ住血吸虫に対するプラジクアンテルの最低有効量と体内動態2012

    • 著者名/発表者名
      石丸克也, 他4名
    • 学会等名
      日本魚病学会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      2012-03-17
  • [学会発表] Parasitic diseases of cultured Pacific bluefin tuna, Thuanus orientalis and development of control measure2012

    • 著者名/発表者名
      Shirakashi, S., 他4名
    • 学会等名
      World Aquaculture Society
    • 発表場所
      ラスベガス,米国
    • 年月日
      2012-03-02
  • [学会発表] Control of blood fluke infections in cultured Pacific bluefin tuna, Thunnus orientalis2011

    • 著者名/発表者名
      Shirakashi, S., 他3名
    • 学会等名
      International Symposium on Fish Parasites
    • 発表場所
      Vina del Mar,チリ
    • 年月日
      2011-09-27

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi