研究概要 |
第一に,太平洋クロマグロの住血吸虫は,従来,主に鰓血管に寄生するCardicola orientalis1 種と考えられていたが,第2 種として主に心室に寄生するCardicola opisthorchis を見出し, 新種記載した。第二に,鰓に集積した虫卵がどちらの住血吸虫に由来するかを形態によって鑑 別する方法を開発した。さらに,鰓組織をNaOH で融解したのちに,虫卵を計数する方法を開 発した。第三に,沖出し後45 日目に2 種の寄生を確認し,その1 週間後には成虫を、さらに その1 週間後には鰓に虫卵を確認した。第四に,C. opisthorchis はプラジクアンテル(PZQ) 7.5 mg/kg 魚体重以上の用量の3 日間連続投与で完全に駆虫されることを確認した。なお,投 与1 か月後には再寄生が認められた。魚体内の薬剤は投与24 時間後に検出限界以下となった。 第五に,PZQ のin vitro における効果を調べた。SEM 観察によって,2 種ともに外被の損傷 が激しかった。すなわち,C. opisthorchis では体表の膨隆と収縮,および体表に皺形成が顕著 となった。一方,C. orientalis では体表面に小穴の形成が特徴的であった。
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