研究課題
①.パーキンサス属原虫2種のうち、アサリの死亡要因となっていると考えられるPerkinsus olseniについて塩分濃度15-30の間で攻撃試験をした。その結果、アサリが通常生息している環境では、塩分濃度はパーキンサスの体内増殖に影響しないことが実験的に明らかとなった。②.18℃から30℃の間で、幼貝(殻長5mm前後)成貝(殻長20mm前後)に対してP. olseniによる攻撃試験を行った結果、水温が高いほど高い致死性が観察された。また、幼貝では体内の栄養体が急速に増殖するのに対し、成貝では栄養体の増殖は遅く、死亡も遅延した。水温サイズによらず、栄養体密度がおおよそ平均10E6細胞/g重量でアサリの死亡が始まった。③.アサリ資源の減少が著しい有明海定点において寄生状況とアサリの減耗状況の調査を継続した。これまで同様、おおよそ106E細胞/g 重量が寄生強度の最大値であり、アサリの月齢が進むにつれ寄生強度の低い個体が減少した。また、寄生強度が高水温時に10E6細胞/g重量に達する時期に、アサリ個体群の減耗が著しくなった。また、感染実験によって10E6細胞/g重量程度に人工的に感染させたアサリを干潟上に1か月間設置する実験を3回おこなったところ、人工的に感染させたアサリは有意に高い死亡率をしめした。②③の結果から、パーキンサス原虫が野生所歌でもアサリの死亡を引き起こしていることがあきらかとなった。④ 資源状態が良好な2海域でのパーキンサスの寄生状況を調査した。いずれの海域でも③の有明定点と比較して寄生強度が極めて低かった。これらの海域では塩分濃度が低いことのパーキンサス感染の低さにつながっていると考えていたが、①の結果を考え合わせると、塩分濃度がパーキンサスの感染を抑制しているとは言えず、今後他の要因の関与についても検討していく必要がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fish Pathology
巻: 48(1) ページ: 13-16
Diseases of Aquatic Organisms
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10.3354/dao02476