研究課題/領域番号 |
22380110
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
北田 修一 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (10262338)
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研究分担者 |
岸野 洋久 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00141987)
濱崎 活幸 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (90377078)
北門 利英 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (40281000)
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キーワード | アサリ / 遺伝的影響 / サワラ / 種苗放流 / マダイ / フィットネス / ベイズ評価 / 養殖 |
研究概要 |
本研究では、養殖・種苗放流のインパクトが大きい事例を対象とし、遺伝子分析とフィールド生態調査・漁獲統計調査に基づき、最新のデータサイエンス手法を駆使して遺伝的影響を実証的かつ定量的に評価・解明することを目指している。 本年度は、中国から輸入されているRuditapes spp.(中国アサリと仮称)、日本のアサリR.philippin arumおよびヒメアサリR.variegatusついて、遺伝分析と外部形態によりその差異を明らかにした(Vargas et al.2010)。鹿児島湾のマダイ種苗放流の影響は湾内に止まっており、天然資源の生残率低下の兆候はないことを、ミトコンドリアの塩基配列分析により明らかにした(Hamasaki et al.2010)。マダイ養殖の実態についてフィールド調査を行うとともに、養殖および天然マダイの標本450尾を新たに収集した。サワラについても、標本1,200尾の収集と遺伝子分析を並行して進めた。さらに、この分野で現在最も重要な問題の1つである、スチールヘッド(ニジマスの降海型)人工種苗の繁殖成功度(1尾の親が残す仔の数)が天然魚に比べて劣っているという結果を検証するため、相対繁殖成功度(RRS}の推定値の偏りとその有意性について検討した。これまで不偏と考えられていたRRS推定値が上へのバイアスを持つことを明らかにするとともに、既存データの解析を行う過程で、RRSの交配間の差と環境変動を許した階層モデルを着想した。周辺尤度をから、RRSの平均と分散およびその分散を解析的に書き下した。さらに、超パラメータの不確実性を許し、マルコフチェインモンテカルロ法を適用して、超パラメータの分布を推定する方法を開発した。これにより得られたRRSの事後分布から、RRSが1より小さい確率分布が推定される。来年度、適用例を加え、論文を投稿する。
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