本研究課題では、マナマコの効率的な新しい人工授精法を開発し、それを利用して養殖用品種として有用な形質となる疣足の形状の遺伝性を検証することを目的としている。H24年度までに神経ペプチド、クビフリンを用いて生体外で受精可能な卵を作出する手法と、精子を凍結保存する手法を開発した。次いでこれら二つの手法を組み合わせて、北海道産マナマコと本州産マナマコの間で交配試験を実施した。本年度は引き続き交配家系を作成し、得られた交配家系を用いてマナマコの疣足形状の遺伝性を検証した。 三重県産雌と三重県産雄の6交配群(MxM)と三重県産雌と北海道産雄の5交配群(MxH)のF1間で疣足の個数及び高さの比較を行った。疣足数は、MxMが30.7±1.1に対してMxHは33.7±2.0だった。疣足高に対して体重の補正を行った疣足高指数は、MxMが0.99±0.03に対してMxHは1.20±0.07だった。以上のことから北海道産マナマコの特性である疣足数が多いこと及び疣足高が高いことには遺伝性があると考えられた。
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