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2011 年度 実績報告書

興奮と抑制の中枢神経伝達を制御する海洋天然物の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22380114
研究機関北海道大学

研究代表者

酒井 隆一  北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (20265721)

キーワード海綿 / ポリアミン / ガレクチン / グルタミン酸受容体 / 脱感作 / 海洋天然物 / 中枢神経
研究概要

新規ペプチド毒アーキュレイン(ACU)の構造解析:ACUはアミノ酸残基45個からなる海綿Axynissa aculeata由来の新規ペプチドであるがN末端の残基が高度な翻訳後修飾を受けており、その構造は不明である。また、分子量が大きく(5000-7000)直接NMR等で構造を決めることが困難であるため、構造決定は挑戦的な課題である。本研究ではこの構造決定に挑むため、機器分析と分子生物学的手法を組み合わせて構造解析を行った。今回、超高分解能質量分析技術の導入でペプチドそのものの精密分子量測定を行い、ACU-AとBの精密分子量の測定を行った。さらに、抽出物にACU-BのN末端部分に相当すると思われる新規化合物を見出したので、それをプロトアーキュレイン1072と命名し、その構造解析を行った。その結果、トリプトファンにポリアミンが結合したこれまでに無い構造を有する化合物であることがわかった。これらの結果を総合してACUの分子式が決定された。すなわち、アーキュレインAの分子式はC298H518N84069S6、BのそれはC252H413N69069S6となり、これらの化合物に含まれる6つのシステイン残基が全てジスルフィド結合を形成していることが明らかとなった。
シナプス受容体調節作用を持つレクチンの構造:海綿Cynachyrellaから分離されたレクチン(CchG)と命名には発現グルタミン酸受容体の脱感作を阻害する興味深い活性が見られた。そこで、レクチンのアミノ酸配列を決定するためにN-末端構造解析ならびにcDNAクローニングを行った。その結果、CchGはガレクチンファミリーに属するタンパク質であることが示された。この結果は動物ガレクチンそのものにもグルタミン酸受容体を調節する活性があることを示唆する。そこで発現ヒトガレクチン1をグルタミン酸受容体に作用させたところ、活性が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書ではレクチンのクローニングおよびアーキュレインの構造解析を行うことを目標としており、それらは順調に達成されているが、アーキュレインの構造にはこれまでの天然物にはない特異な構造が含まれるので、その構造決定には更なる研究の進展が必要である。レクチンの生理活性はこれまでに知られていながった動物ガレクチンの脳における作用を示唆する重要な発見と位置づけている。

今後の研究の推進方策

アーキュレインの構造は少なくとも一つの平面構造の決定を目指す。ガレクチンはその立体構造の決定および生理作用の研究を進展させる。これら以外の活性物質の探索を引き続き行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Isolation, amino acid sequence and biological activities of novel long-chain polyamine-associated peptide toxins from the sponge Axinyssa aculeata2011

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga, S., Jimbo, M., Gill, M.B., Wyhe, L.L., Murata, M., Nonomura, K., Swanson, G.T., Sakai, R.
    • 雑誌名

      Chembiochem

      巻: 14 ページ: 2191-2200

    • DOI

      10.1002/cbic.201190063

    • 査読あり
  • [学会発表] 興奮性アミノ酸ダイシハーベインの研究2012

    • 著者名/発表者名
      酒井隆一
    • 学会等名
      第132回日本薬学会年会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] Bioactive rebosomal peptides from marine sponges2012

    • 著者名/発表者名
      酒井隆一
    • 学会等名
      Gordon research conference
    • 発表場所
      Ventura Beach Marriott(米国)(招待講演)
    • 年月日
      2012-02-27
  • [学会発表] Novel peptide toxins from marine sponges2011

    • 著者名/発表者名
      酒井隆一
    • 学会等名
      第7回US-JAPANセミナー
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-14
  • [学会発表] Aculeineおよびその類縁体の構造解析2011

    • 著者名/発表者名
      松永智子、酒井隆一、Gill, M.B., Lash, Van-Wyhe, L.L., Swanson G.T.
    • 学会等名
      第53回天然有機化合物討論会
    • 発表場所
      大阪国際センター(大阪)
    • 年月日
      2011-09-28
  • [学会発表] 沖縄県産海綿Cinachyrella sp.より得られたガレクチンIRI35の配列解析2011

    • 著者名/発表者名
      上田拓弥・井上昌・中村友香・松永智子・尾島孝男・Geffrey T.Swanson・酒井隆一
    • 学会等名
      日本水産学会秋季年会
    • 発表場所
      長崎大学(長崎)
    • 年月日
      2011-09-26

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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