研究課題
海綿 Axinyssa aculeata由来の新規ペプチドであるアーキュレイン類のN-末端側のアミノ酸残基プロトアーキュレイン(pACU-B)の構造解析を合成モデル化合物を用いて比較検討することで完了した。この結果から、これまで例を見ない構造を持つ分子量5700のACU-Bの作業構造を提出することができた。また、ACUは強い溶血作用を示すが、陰イオン性のリン脂質、へパラン硫酸、レクチンによっても強く阻害されたことから、ACUが細胞表面の陰イオン性物質を認識し、結合することが溶血活性に必要であることが示唆された。海綿Cinachyrellaから分離されたレクチン(CchG)は、ドーナッツ型の4量体構造のガレクチンであるが、発現AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体の脱感作を阻害する活性を持つ。この結果は、人の脳内で発現するガレクチンもグルタミン酸受容体の機能を変調している可能性を示していたので、その可能性をさらに検証するためマアナゴガレクチン、コンジェリンIおよび発現ガレクチンIを用いて発現グルタミン酸受容体及び神経細胞に対する作用を調べた。その結果、構造上安定性が高いガレクチンほど強い作用を示すこと、作用は糖鎖のプロセッシングに依存的であることが分かった。したがってAMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体は糖鎖プロッセッシングの度合いに応じてガレクチンにより様々な変調を受け、中枢の生理または病理的な状態に影響を及ぼしている可能性を提唱した。また、パラオ産海綿およびホヤよりNMDA受容体やGタンパク質共役受容体に強い親和性を示す新規モチーフを持つアルカロイドを計8種単離し海洋生物が新規の神経活性化合物の宝庫であるという考えを立証した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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