研究課題/領域番号 |
22380128
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
平松 研 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90271014)
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研究分担者 |
土田 浩治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00252122)
一恩 英二 石川県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10320912)
西村 眞一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90228221)
岩澤 淳 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90242742)
大西 健夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70391638)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 農業用排水路 / 生態系 / 魚種相 / 食物網 / 生活排水 / 脱窒 |
研究概要 |
食料・農業・農村基本法が施行されて以降,農業用排水路が改修される場合においても,それ以前のように通水機能のみを対象とするのではなく,生態系にも配慮した工法が導入されるようになってきた.一方で,これら工法を用いた改修の効果は設置された箇所毎の特性の違いや効果自体の抽出の困難さから依然として十分に評価がなされているとはいえず,さらに改修による中長期の生物相の遷移については,これまで全くといって良いほど調査事例がない.そのため,本研究では,平成10年度よりコンクリートライニングによる改修が行われてきている大江排水路を取り上げ,その改修が生態系にどのような影響を及ぼしてきたのかを多角的な視座から調査・解析することを目指している. 本年度は,年間15回をこえる調査を行い,排水路内の魚種相の変化,安定同位体比分析による食物網の実態,水質の実態調査と硝化脱窒菌に注目した水路内の水質形成機構の解明を進めてきた.安定同位体比分析ではデータの蓄積が進み,大江排水路の特異性がより明確となった.また,新たに導入した微生物群集解析では,大江排水路内での脱窒および硝化の活性度が場所により変化していることを示し,クローズドチャンバーでは亜酸化窒素での脱窒を確認できた.これらの成果は依然初歩の段階ではあるが,今後の幹線農業用排水路の水質および生態系管理を考える上では有益な情報であると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
改修された農業用排水路の水環境を多角的な視座から調査を行っており,生物相や食物網,あるいは魚類の移動については知見が蓄積されつつある.水質については当初あまり検討していなかった微生物の影響についても含める方向で研究が進んでおり,申請時の目的とは必ずしも一致しない内容も含んでいる.安定同位体比解析については一定の成果が得られ,論文として公表した.
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今後の研究の推進方策 |
改修された農業用排水路の水環境について多角的な視座からの調査を継続する.本年度に特に力点を置く内容は水路内の窒素循環であり,微生物による影響をDGGE分析およびクローズドチャンバー法によるガス分析により明らかにすることを目指す.ただし,これまで研究グループが行ってきた水質分析とはやや手法が異なり,経験が不足する点は否めない.そのため,外部者へのアドバイスを求めながら,段階を追って実施することになると考えている.
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