研究分担者 |
中矢 雄二 愛媛大学, 農学部, 教授 (00036427)
藤原 拓 高知大学, 自然科学系, 教授 (10314981)
黒田 久雄 茨城大学, 農学部, 教授 (20205256)
加藤 亮 茨城大学, 農学部, 准教授 (10302332)
斎藤 広隆 東京農工大学, 農学研究院, 准教授 (70447514)
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研究実績の概要 |
本研究では, 新たな環境汚染物質として, 今後の適切な対応が世界的に強く望まれている「生活排水に混入する人用医薬品」を研究対象物質としている. そして, 本研究では, 日本農村での生活排水に由来する医薬品汚染の実態と適切な対策の解明のために「日本農村の生活排水を浄化する代表施設である農業集落排水施設」における医薬品除去の実態と, 更なる効率的浄化策を解明することを目的とした. 平成22年度の研究では, 実際に稼働している多様な処理方式の集落排水施設(37施設)の流入水と処理水を採水・分析した. その結果, 分析対象とした15種類の医薬品の全てが, いずれかの調査した集落排水施設の流入水から検出されものの, いずれの施設においても, 殆どの医薬品は, 流入水よりも処理水で濃度が低く, 集落排水施設で医薬品が除去されている実態が明らかとなった. 一方, 処理水における医薬品の検出濃度は高くても1μg/Lオーダーに留まっていた. ただし, 検出頻度・濃度が比較的高かったのは, 解熱鎮痛剤Ketoprofen, 強心剤Caffeine等であり, これらの医薬品は, 水温が低下した時期には, 集落排水施設での除去率が低下する傾向も見られた. 以上のことから, 今後, 集落排水施設内, および処理水を無希釈灌漑水として利用した水田での医薬品除去効果を詳細に検討していくにあたっては, これらの医薬品を主な対象にすることが望ましいと考えられた. 処理水を流入させた水田での浄化効果の検討は, 平成23年度から本格的に実施する予定であり, 平成22年度は, 処理水を流入させた水田での医薬品浄化作用のモデル実験装置と数値モデルを構築する準備を行った. 具体的には, モデル装置を設置するとともに, 数値モデルの基礎部分(主に, 根の生長と, それに伴う医薬品吸収モデル)を構築した.
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