研究概要 |
堆積物が浚渫された環境配慮型農業排水路において、土砂が再度堆積する過程と生態系の遷移を把握するため、横断測量等の手法によりデータの収集を開始し、2010年4月から11月までに堆積した土量を算出した.また堆積・植物群落の発達プロセスおよびこれに伴う水の流れの変化と,水生昆虫の炭素安定同位体比の関係を解析した。この結果,水生昆虫の炭素安定同位体比が,水路内の土砂堆積等の影響を強く受けて変化する「水の流れの複雑さ」を指標することが示唆された。 環境配慮型水路における植生や流況などの常時環境モニタリングを実現するために、カメラおよび各種センサーと通信装置を一体にした屋外用の簡易計測機器システムであるフィールドサーバ(イーラボエクスペリエンス社)に改良を加え、圧力式水位センサーを組み込み、また太陽光パネルでの電源供給による自律型システムを構築した。 農業排水路とその水路法面における江払い作業と草刈り作業のRPEとRMRを算出し、その規定要因を考察した。試験対照区における実地試験の結果、江払い作業・草刈り作業ともにRPEは「きつい」、RMRは「重労作」に分類された。草刈り作業のRPEとRMRの規定要因として被験者のBMIや機器操作の熟達度・心理的要因等が、江払い作業に関しては土の重量やスコップで浚う高さ等が影響していると推察された。 遺伝的多型(グループ)の空間分布を明らかにするため、栃木県内のドジョウのミトコンドリアDNA遺伝子を分析した。当県には既存の3グループの他に、韓国系と推定される新たなグループが存在した。これらのグループ形成と環境配慮型整備地区との関係を整理し、他地域と比較可能な遺伝的多型指標について、ハプロタイプ多様度、塩基置換率、ペアワイズφst等を抽出した。
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