研究課題/領域番号 |
22380136
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
豊田 淨彦 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30144603)
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キーワード | ATR-FTIR / 中赤外分光法 / ω3脂肪酸 / ω6脂肪酸 / 一価不飽和脂肪酸 / 飽和脂肪酸 / 筋内脂肪 / ファイバープローブ |
研究概要 |
本研究では、牛肉の食味、健康機能、安全性に影響を及ぼす脂肪酸を簡便に測定するフーリエ変換赤外分光法の開発を目的として、以下を実施した。 1.FTIR-ATRによる脂肪酸プロファイルの簡便迅速測定法の開発 黒毛和種の測定例を追加し、FTIRスペクトルから主要脂肪酸含量を予測するPLS回帰モデルを求めた。その結果、同モデルの決定係数は、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、オレイン酸では、それぞれ、0.938、0.933、0.750となり、前年度の値、0.736、0.818、0.409に対して改善された。しかし、脂肪組織では、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、オレイン酸について、それぞれ、0.568、0.638、0.610となり、前年度値、0.703、0.752、0.578に比べ、予測精度の低下が一部見られた。これは、交差検定における決定係数および予測誤差の較正用データと検証用データ間の差が抽出脂肪に比べ大きく、脂肪組織では、試料毎に共存物質の影響度合いが異なることが大きく影響したものと推測された。 2.オンサイトFTIR測定法の開発 ファイバープローブ(PIR)による脂肪組織のオンサイト脂肪酸測定を試みた。エバネッセン波を生じるベアファイバー部分での一様な試料接触を維持する意図で測定容器を試作し、効果を確認したが、繰返し精度に改善の必要性を認めた。 3.ω.3、-6脂肪酸による健康機能性評価 ω-3、-6脂肪酸を含む脂肪酸異性体測定のため、昇温GC法による抽出脂肪の脂肪酸測定を行った。その結果、供試肉の主要なω-3、-6脂肪酸はα-リノレン酸、リノール酸と見なされ、ω--6:ω-3の比率は50:1と著しい値が得られた。今後、追試実験の必要性を認めた。それら脂肪酸のATR-FTIR法によるPしS予測モデルを求め、その有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体の計画は概ね順調に推移しているが、次の点に検討を要し、次年度での継続作業が必要である。 (1)安定した測定を可能にするファイバー・プローブ周辺技術の開発、(2)FTIRスペクトルに影響を与える牛肉試料組織の個体差の評価
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今後の研究の推進方策 |
牛肉試料組織の個体差評価、測定ファイバー・プローブの測定安定性の課題に対して、測定の自動化、機械化による測定試料数の拡大、一様条件による測定を達成することを目的に、次年度の計画において、自動ステージによる測定システムを導入し、測定技術を改善する。
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