課題1:イチゴの物理的損傷の可視化技術および損傷定量化技術の開発:本小課題では、本研究申請者らの研究成果である「イチゴ果実硬度推定重回帰モデル」をイチゴの物理的損傷検知へと発展させ、イチゴの物理的損傷を可視化し、その損傷程度を定量化する計測技術の開発を目的とした。平成24年度は、近赤外域を撮影可能なInGaAs素子カメラ(波長800~1900nm)と2次元分光スペクトル(波長域900~1700nm)を取得可能な分光器を用い、イチゴの全表面反射光スペクトル情報取得システムを試作し、イチゴ果実表面のハイパースペクトルを取得可能にした。そして、イチゴの物理的損傷位置と損傷部位におけるスペクトルデータとの関係から、非接触・非破壊で物理的損傷位置の推定方法を考案した。 課題2:イチゴ流通時の物理的損傷発生メカニズムの解明:本小課題は、流通時にイチゴが曝露する振動・衝撃などの物理的損傷発生要因データおよび温度・湿度・呼吸量などの流通時保蔵環境のデータを把握し、これらのデータに基づいて振動試験装置等を用いて実験室内で流通環境を再現し、物理的損傷発生のメカニズムを解明することが目的である。本年度は、取得した輸送中のイチゴ、パック、外装容器(段ボール箱)、コンテナ、荷室の連続的な3軸加速度データを、流通経路、即ち生産農家~集荷場、集荷場内の取扱いおよび輸送車両への積込み、輸送車両での運搬、市場内での取扱い、市場~販売場所の区分に分け、それぞれの振動・衝撃の特長を明確にした。 課題3:イチゴの物理的損傷耐性の解明:本小課題では、イチゴ個体ごとの物理的損傷に耐え得る性質(損傷耐性)を解明するとともに、物理的損傷耐性の評価技術の開発が目的である。本年度は、イチゴ表皮系組織の破壊過程における物理的特性を詳細に把握し、イチゴの物理的損傷と物理的損傷に耐え得る性質との関連性について考察した。
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