研究課題/領域番号 |
22380143
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 和雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60091831)
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研究分担者 |
盧 尚建 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (90322130)
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キーワード | 黒毛和種牛 / 遺伝子多型 / 成長ホルモン / GH分泌 / 脂肪細胞 / インスリン / 脂肪酸合成 / 不飽和脂肪酸 |
研究概要 |
本年度は以下の5点について成果を得ることができた。(1)GH遺伝子のプロモーター領域における一塩基多型と肉牛の生産性に関する解析:プロモーター領域に合計3カ所の一塩基多型が存在することを発見した。その結果、今回のプロモーター領域の変異(C/T)に基づいて分類すると、合計4種類の多型に分類でき、今までのGHタンパク質部分の変異での分類(A、B、C型)によるA型がさらに3つに細分類(A1、A2、A3)出来ることを発見した。この分類法で牛肉生産性との関連性を統計的に解析した結果、A1変異は枝肉重量を有意に大きくするが、A2とともに牛肉のおいしさの指標であるオレイン酸の含有比率を少なくした。また、黒毛和種牛では地域差が大きく、代表的な高級和牛である但馬ウシでは、A型遺伝子を持つ動物が極端に少ないことを発見した。(2)CC型脂肪細胞の脂肪蓄積における特徴の解析:CC型遺伝子を有する皮下脂肪細胞を不死化し、増殖・分化することに成功したが、昨年3月の大震災ですべて死滅した。それでもBC型の黒毛和種牛から脂肪細胞を単離し、継代培養することに成功した。この細胞では、脂肪蓄積を開始すると、脂肪酸合成関連遺伝子や不飽和化する遺伝子発現に先行してSREBPなどの遺伝子が発現すること、また、GH投与によって脂肪酸合成関連遺伝子発現が低減されることが示され、今後のホルモン作用機構と脂肪酸合成に関する研究のための標本として使用できることが明らかとなった。(3)インスリン抵抗性および代謝機能解析:10ヶ月齢時のAA、BB、CC型子牛を用いて、インスリンやグルコース・クランプ法で、糖代謝の相違を測定する予備実験に着手し、グルコースやインスリンの投与量を確立し、部分的結果を得ることができた。解析結果は、例数が揃ってからとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.クローニングした細胞が死滅したため、再度、CC型動物から細胞を採取し、クローニングする必要がある。 2.GHタンパク質合成と機能の関連性の解析に至っていない。23年度中に合成を進める予定であったが、震災の影響で2ヶ月以上の遅れとなっている。したがって、構造の異なるGHタンパク質と受容体の親和性、脂肪細胞への効果などの解析は、24年度に実施することとなる。 3.インスリン抵抗性および代謝機能解析に関して、CC型の動物が少なく、試験の完了が24年度になってしまう。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の「研究の目的」に関して重要な変更点は無いと考えるが、総合的な達成度は最終年度である24年度の努力に依存している。現在までの達成度に関して「やや遅れている」とする原因は、上記の11.に記載したとおりである。今後の研究推進は以下のように行う。 1)特に、GHタンパク質をできるだけ早期に合成する。 2)AAおよびCC型細胞の採取は、4月中に達成する。すぐ、クローニング作業にとりかかる。 3)上記を今年度前期までに達成し、初期の研究計画を達成する。
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