研究概要 |
ウシ子宮内膜の上皮細胞および間質細胞でのペースメーカーの発振機構と機能を解明するために,入力系,ペースメーカー,出力系の3成分に分けて解析する.上皮細胞および間質細胞でのペースメーカーを高い精度でモニターする(項目2)ペースメーカー振動に影響する入力系因子の評価と検索,(項目3)ペースメーカー振動に呼応して振動的に発現する出力系遺伝子群の評価と検索,(項目4)出力系の検証のために,コア時計遺伝子をターゲットにしたRNA干渉による影響を調べる.項目2:マウスPer1プロモペーターを挿入したベクター(mPer1:Luc)を導入した間質細胞を同期化した結果,第一位相が認められた時間帯からmRNAを分離して時計遺伝子(Bmall, Clock, Per1, Per2, Rev-erbα)の発現を解析した.上皮細胞ではエストラジオールを添加することによって,Cosinor解析では有意な周期性とは言えないまでも,ANOVA解析では有意な変化が認められた.あわせて時計遺伝子の制御下にあると思われるCox2遺伝子の変動を解析した結果,BmallとClock遺伝子の発現の数時間後から急激な発現増加が認められた.この増加はRev-erbαによる制御ではないことから,BMAL1とCLOCKによるE-boxを介した転写活性の増加によることが考えられる.一方,間質細胞ではプロジェステロン添加によってもCox2遺伝子の発現には殆ど変化は認められなかった.以上の知見から,黄体機能の運命を握るプロスタグランジンF2αの産生を制御するCox2遺伝子は上皮細胞の細胞時計に制御されていることが示唆された.Bmall-mRNAのRNA干渉を用いて詳細な解析を進めている.
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