研究課題
本研究は節足動物媒介性感染症の病原体とベクターに着目し、ベクターとその体内における共生微生物、病原体の三者間の相互作用を包括的に解明しようとするものである。蚊・ダニなどに代表されるベクターの中腸は病原体の最初の侵入門戸であり、その内部環境は感染の成立に対して重要な影響を与えるものと推測される。ベクター中腸内における生物学的環境の主要構成因子として、腸内細菌叢が知られている。本研究では、腸内細菌叢と病原体の間には何らかの生物学的関係が存在するものと仮説を立て、病原体伝播成立における媒介ベクターの腸内細菌の意義を明らかにするため以下のように研究を実施した。1.マラリア汚染地域におけるハマダラカ腸内細菌とマラリア原虫保有率の比較解析西アフリカのマラリア汚染地域においてハマダラカより腸内細菌を分離・同定し、実験室においてハマダラカに細菌を移植、マラリア原虫感染率を解析した。その結果、分離株ごとに異なる原虫感染率を示した。解析の結果、原虫感染率は細菌の細胞形態表現型分布と相関を示すことが示唆された。2.病原体-ベクター媒介モデルを用いた腸内細菌由来因子による抗病原体作用の解析セラチア由来成分による自然免疫活性化メカニズムによる抗病原体作用の解析を行った。その結果、自然免疫の活性化による抗病原体作用がセラチアによって特異的に誘導されるとの知見は得られなかった。したがって、宿主自然免疫系を介さない、より直接的な相関関係による抗病原体機構があることが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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