研究課題/領域番号 |
22380158
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
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研究分担者 |
高須 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (00503327)
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 垂直感染 |
研究概要 |
昨年度までに、トキソプラズマ感染白血球の表面においてさまざまな分子の発現量が変化することが明らかとなったが、このうち感染白血球のヒアルロン酸への吸着についてはCD44が主たる役割を果たしていることが分かった。詳細は以下の通り。 1)CD44ノックアウトマウスの白血球はトキソプラズマに感染してもヒアルロン酸への吸着能力を増さない。2)感染白血球を抗CD44抗体で処理するとヒアルロン酸への吸着力が減少する。いっぽう、マウスの栄養膜巨細胞ではヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現レベルが内皮細胞や繊維芽細胞に比べて著しく低いことが明らかになった。さらにサイトカイン刺激による発現誘導も認められなかった。母体由来の感染白血球がCD44とヒアルロン酸を介して吸着しているとしてもそれは栄養膜巨細胞表面ではないことが示唆された。以上のことから、昨年度までに胎盤組織で観察された母体由来感染白血球の集合像は、栄養膜巨細胞表面への吸着ではなく、血管内皮や露出した細胞外マトリクスをターゲットとしている可能性が示唆される。そこでこの点を精査するため胎盤から内皮細胞を樹立することを試み形態的に内皮細胞とおもわれる細胞の樹立に成功した。現在マーカー分子の発現パターンをチェックしている。さらに母体はGFP陽性、胎児は陰性という組み合わせの妊娠マウスから採取した胎盤で同様の細胞を樹立したところ、GFP陽性細胞と陰性細胞の両方がえられ、それぞれ母体(脱落膜)由来、胎児(絨毛膜)由来の細胞と思われた。来年度に向けてその正常を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、反芻動物を用いた検証に予定以上の時間がかかったために計画がずれ込んでいる。しかし昨年度の停滞以降、順調にしんこうしているため最終的には目標を達成できる見込み。
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今後の研究の推進方策 |
感染白血球の全身伝播における白血球側の要因としてCD44の重要性が示された。そこで今後は生体内におけるCD44の機能を集中的に検証する。さらに妊娠ヒツジを用いた検証を行い、反芻動物における感染白血球の挙動とマウスのそれを比較検討する。また血液絨網胎盤においては、栄養膜巨細胞は感染白血球の侵入門戸というより、むしろバリアとして機能していることが示唆された。そこで血液絨網胎盤における虫体の侵入門戸となる部位について検証を進める。
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