研究課題
高病原性H5N1型ウイルスの他に、マウスが感受性を示すH1N1型ウイルス(A/Puerto Rico/8/19347株)を使用し、このウイルスを鼻腔内接種することで感染実験を実施した。マウスの生死によって、感染抵抗性について検討した結果、可溶型Siglec5発現トランスジェニックマウス2系統および可溶型Siglec9発現トランスジェニックマウス2系統の何れにおいても、生存日数の延長は認められなかった。本研究では、可溶型Siglecのin vitroでの抗インフルエンザ作用は、トランスジェニックマウスでは確認できず、マウスにインフルエンザ抵抗性を付与できなかった。 代替方法として、抗原亜型に関係なく広くA型インフルエンザウイルスに有効と考えられるPB2に対する抗体やH5N1型高病原性インフルエンザウイルスに対する中和抗体を産生するトランスジェニックマウスの作製を継続している。これら抗体を複数種類発現する動物は、インフルエンザウイルスに対する感染抵抗性を獲得する可能性が期待される。また、上皮性癌患者の生体内でムチンは、未熟樹状細胞に発現する Siglec9と結合し、IL-12 の産性能を抑制することで、癌細胞の腫瘍免疫からの回避に機能することが報告されている。可溶型Siglec9が腫瘍細胞のムチンに結合することにより、ムチンの腫瘍免疫回避機能を抑制する可能性を検討するため、MM46-MUC1腫瘍細胞を可溶型Siglec9発現トランスジェニックマウスに移植し、マウスの生死によって、腫瘍細胞増殖抵抗性について検討した。その結果、可溶型Siglec9発現トランスジェニックマウスにおいて、ムチン産生腫瘍細胞の増殖が抑制され、生存期間が延長されることが判明した。このことは、新たな癌の治療法の開発に繋がる可能性を示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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