研究概要 |
牛AAアミロイドーシスは、急性期炎症蛋白質である血清アミロイドA蛋白質(SAA)がβアミロイド線維を形成し生体の組織に沈着して発症する致死性の疾患である。牛AAアミロイドを形成する前駆蛋白は知られているが、アミロイド形成機構や異種動物への伝播機構は明らかではない。本年度は、牛アミロイドのアイソタイプを明らかにする目的で、SAAのアイソタイプに特異的なモノクローナル抗体を作成して、組織に沈着するアイソタイプを明らかにする。また、異種動物への伝播性として、マウスとウサギを用いて牛AAアミロイドーシスの伝播性を解明する。 1. 牛SAAアイソフォームに特異的なモノクローナル抗体の作成 牛SAAアイソフォーム(SAA1,SAA2,SAA3,SAA4)に対するモノクローナル抗体を作成した。その結果、SAA1,SAA3,SAA4に対する特異抗体を得た。牛AAアミロイドーシス牛では、SAA1抗体に特異的に反応するアミロイドが腎臓や消化管組織に蓄積していることが、ウエスタンブロットおよび免疫組織化学検査で明らかとなった。 2. 異種動物(マウス、ウサギ)への牛AAアミロイドーシスの伝播性 牛AAアミロイドーシスの伝播性を明らかにする目的で、硝酸銀にてマウスを刺激後、精製牛AAアミロイドを腹腔内に投与してマウスでのアミロイド形成能を解析した。また、ウサギに関しては、アジュバントを投与後、精製牛AAアミロイドを静脈内に投与して解析した。マウスへの牛AAアミロイドーシスの伝播性は観察されなかったが、ウサギについては、sore hock保有ウサギでのみアミロイドの沈着が観察された。アミロイドの伝播性が観察された個体では、血清SAA濃度も高かった。来年度は、伝播性の機構について詳しく解析する予定である。
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