研究課題/領域番号 |
22380165
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
石黒 直隆 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00109521)
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研究分担者 |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20355184)
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キーワード | ウシ / ニワトリ / ウサギ / アミロイド / 伝播性 |
研究概要 |
牛AAアミロイド症は、急性期炎症蛋白質である血清アミロイドA蛋白質(SAA)がβアミロイド線維を形成し生体の組織に沈着して発症する致死性の疾患である。牛AAアミロイドを形成する前駆蛋白は知られているが、アミロイド形成機構や異種動物への伝播性は明らかではない。本研究は、アミロイド前駆蛋白からアミロイドに至るアミロイド形成機構を解明することを目的に、牛や鶏に発生するアミロイド症の病態を解析し、異種動物へ伝達性について明らかにする。平成23年度は、牛のアミロイド症14例を免疫組織化学的に解析し、病態からアミロイド形成機構について解析した。その結果、以下の成果を得た。 1)牛アミロイド症の14例の内、11例が典型的な牛アミロイド症のネフローゼ症候群を示し、蛋白尿および腎肥大が観察された。一方3例には、ネフローゼの兆候は見られなかった。2)上記11例の牛では、脾臓、心臓、肝臓にアミロイド沈着が、コンゴレッド染色および免疫組織化学検査で検出された。一方、3例では肝臓と脾臓に軽度のアミロイド沈着がみられた。3)典型的な14例のアミロイド症をクラスIアミロイド症、11例の非定型的なアミロイド症をクラスIIアミロイド症と分類した。両クラスともアミロイド線維には大きな違いは見られなかった。牛アミロイド症のマウスへの伝播性に関して解析した。マウスを5匹づつグループに分けて炎症刺激として硝酸銀を1%~4%投与して牛アミロイド症の伝達性を解析した結果、以下の成果を得た。 1)硝酸銀の刺激が1%よりは2%および4%の方が、アミロイド症の伝達率が高率であった。 2)アミロイドの伝達率は、血清SAA濃度に依存しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
牛アミロイド症について、免疫組織化学的に詳細に解析する機会を得た。その結果、これまで見過ごしてきた非定型的なアミロイド症を見つけることができた。従来の牛アミロイド症をクラスI型、臨床症状を示さない牛アミロイド症をクラスII型として分類して論文として公表した。しかし、アミロイド症を誘発するアミロイド線維に大きな差は見られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
牛アミロイド症の病態解析とアミロイド形成について 牛アミロイド症の病態に関しては、臨床所見と各種臓器におけるアミロイドの蓄積度を比較して、これまで不明であった牛アミロイド症の全体像を明らかにすることができた。しかし、病態を分類したクラスIとクラスIIとでアミロイドの伝達性に違いがあるかどうかは不明である。今後は、アミロイドの異種動物への伝播性に重点をおき解析する予定である。特に、以下の点について解析する。 1)硝酸銀の投与量(1%~4%)に依存した炎症刺激によるアミロイドの伝播性の違い。 2)投与するアミロイドの精製度によるアミロイドの伝播性の違い。 3)皮下投与と経口投与によるアミロイドの伝達性の違い。
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