動物のAAアミロイド症は、急性期炎症蛋白質である血清アミロイドA蛋白質(SAA)がβアミロイド線維を形成し生体の組織に沈着して発症する致死性の疾患である。例えば牛AAアミロイドを形成する前駆蛋白は知られているが、アミロイド形成機構や異種動物への伝播性は明らかではない。平成24年度は、鶏に発生した鳥アミロイド症の病態を詳しく解析すると共に、鶏間でのアミロイド症の伝播性を明らかにする目的で、鶏に実験的に感染させて検討した。その結果、以下の成果を得た。 1)ワクチン接種による鳥アミロイド症の発生と病態解析の結果(1)ワクチン接種した産卵系の鶏農場で、高率に鳥アミロイド症によるへい死例に遭遇した。特に、胸筋内にワクチンを接種後、へい死例が急増した。(2)へい死した鶏を病理解剖すると、肝臓、脾臓、胸筋にアミロイドの沈着が、コンゴレッド染色および免疫組織化学検査で確認された。ワクチン接種鶏でのアミロイド症の発生を明らかにした。 2)鳥アミロイド症の同種間伝達試験での結果(1)産卵系鶏を8群に6羽づつわけて、鳥アミロイド症の発症と伝播実験を実施した。(2)サルモネラのワクチンを胸筋に接種後、鶏アミロイドを静注した鶏6羽全羽で鳥アミロイド症が観察された。肝臓、脾臓、胸筋、小腸にアミロイド沈着が観察された。(3)サルモネラのワクチンを胸筋に接種後、鶏アミロイドを経口投与した12羽の鶏の内、8羽で鳥アミロイド症が観察された。静注投与群に比べて、アミロイドの沈着は軽度であった。(4)サルモネラワクチン以外の炎症刺激材(LPSやFCA)では、アミロイド症の伝達性は観察されなかった。 本研究で、ワクチン接種により鳥アミロイド症が誘発されることを明らかにした。
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