研究課題/領域番号 |
22380172
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
北川 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70144003)
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研究分担者 |
大場 恵典 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20377691)
亀谷 美恵 東海大学, 医学部, 講師 (50338787)
安藤 麻子 東海大学, 医学部, 准教授 (40101935)
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キーワード | MHC / ブタ / 造血幹細胞 |
研究概要 |
本年度の本研究実施計画は、(1)MHC固定ブタ骨髄細胞のマウスモノクローナル抗体作成(2)MHC固定ブタ造血幹細胞の同定(3)MHC固定ブタ末梢血及び臍帯血リンパ球解析、の3点である。(1)に関しては、本年度もHEK293およびA20を親株としたトランスフェクタントを免疫及びスクリーニングに用いて、CD34,CD117に対するモノクローナル抗体の作成を試みた。現在、CD117特異的ハイブリドーマについてはクローニングが終了しており、大量培養を行っている。CD117モノクローナル抗体については、現在イムノブロッティングに使用可能かどうかを確認中であり、今後、造血幹細胞同定に用いる予定である。CD34に対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、現在クローニング中である。(2)得られたCD117モノクローナル抗体を用いたブタ臍帯血単核球の染色とフローサイトメトリー解析を行い、僅かな陽性画分の存在を再現的に確認した。今後、磁気ビーズ法あるいはソーティングにより造血幹細胞の単離を試みると共に、NOGへの移植と免疫系再構築能を解訴する。(3)CD25陽性T細胞については解析が進んでおり、ブタ末梢血単核球のスーパー抗原刺激およびIFN-γ刺激によるCD4+T細胞上に72時間まで持続的なCD25、SLA class I各タンパク質分子の発現亢進を確認した。一方、各SLA class I、IRF-1のmRNA発現は一過性の発現上昇の後、発現の低下が観察され、タンパク質発現との間に相違が有ることが明らかとなった。本結果については、現在、論文投稿中である。ブタCD117モノクローナル抗体は今まで作製された実績はなく、世界で初のモノクローナル抗体であり、今後有用なツールとなることが期待される。造血幹細胞の同定は予定より遅れているが、次年度に達成される見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の大きな目的である造血幹細胞の抗体作成が計画通りに達成されている一方、造血幹細胞の同定に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、ミニブタ造血幹細胞特異的抗体の作成とそれを用いた造血幹細胞の同定が達成される予定である。ブタ造血幹細胞の同定の後、ブタの血液細胞、特にリンパ球の分化過程が免疫不全マウスへの移植や、SLA固定ブタの特性を活かしたマーカー遺伝子導入造血幹細胞の同種移植などで、更に明らかとし、血液系・免疫系の進化過程を明らかにすると共に、ブタへのワクチンの方法論の開発やヒトモデル動物としその前臨床試験に用いる為の情報を発信する。
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