研究課題
本年度は、これまでのデータのさらなる検証を行い、国内、国外の学会発表で公表を行った。なお、本来予定していたウシ感染試験は、実施場所等の調整の関係で実行できなかった。また、近年、細菌が形成するバイオフィルムが、薬剤の効果を減弱することが報告されており、乳房炎由来SA(Staphylococcus Aureus)のバイオフィルム形成能、ならびにファージ溶菌効果との関係を検証した。1)乳房炎モデルマウスを用いたファージセラピーの効果の検証前年度行った実験の再現性を検証した。乳房炎モデルマウスの実験により、ファージがSAの増殖を抑制することが明らかに出来た。また、投与経路は、乳腺への直接注入だけでなく、腹腔注入や静脈注入でもファージが乳腺に移行し、効果をあげることがあらためて検証できた。また、ファージの腹腔注入、静脈注入において、乳腺組織内にファージの核酸が検出され、ファージが浸潤してきている裏付けもとれた。さらにファージのみの生体への投与は、宿主となる細菌がいないため、投与後すぐから血中、乳腺中のファージ数は減少し始め、4時間後には検出限界以下となった。この事は、宿主がいなくなると生体中からファージは排除されていく事を示しており、安全面から考えても有利に働くと考えられた。2)ウシ乳房炎由来SAのバイオフィルム形成能とファージ効果ウシ乳房炎由来SAのバイオフィルム形成能を調べた。ヒトからの分離株に比べて、牛乳房炎由来のSAは、相対的にバイオフィルム形成能が低かった。また、ファージの効果は、バイオフィルム形成能が高いほど、効果が減弱される傾向が見られたが、さらなる検証が必要である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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