研究課題/領域番号 |
22380176
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
津田 雅孝 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90172022)
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研究分担者 |
黒川 顕 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (20343246)
永田 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30237531)
大坪 嘉行 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (40342761)
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キーワード | 環境汚染 / 細菌 / メタゲノム / 分解酵素遺伝子 |
研究概要 |
有害化学物質で汚染された土壌において、当該土壌での棲息細菌集団と各種分解酵素遺伝子群等の汚染化による経時的な変動様式を総合的に解析し、土壌細菌集団の人工的環境汚染物質添加に対する適応様式を解明することを目的とし、本研究では、3種の多環芳香族化合物(フェナントレン、ビフェニル、カルバゾール)を添加した人工的汚染化閉鎖系土壌をモデル系として、(i)メタゲノムの生物情報学的解析と、(ii)実際に分解能を示す各種の細菌株と分解酵素遺伝子群の取得・解析、を同時平行的に実施している。汚染土壌と非汚染土壌のメタゲノムの塩基配列解析で、汚染土壌では、汚染後1週目から急激な菌叢変動が認められ、検討した24週目までグラム陰性のBurkholderia属細菌が優占菌群となったが、24週目には汚染前菌叢構成への回帰傾向が認められた。また、汚染物質分解が盛んな6週目にはグラム陽性のMycobacterium属細菌の割合が上昇していた特徴を見出した。この6週目において、多環芳香族化合物初発分解酵素遺伝子の相対的存在量が最も高く、その多くはMycobacterium属由来遺伝子と生物情報学的には想定された。ただ、初発分解以降の更なる分解に関わる酵素群の遺伝子はプロテオバクテリア由来と推定され、汚染物質の完全分解への異なる細菌門による協調分解が示唆された。また、汚染土壌から、実際に多環芳香族化合物初発分解能を持つ酵素遺伝子を複数取得した。一方、汚染土壌からBurkholderia属細菌を50株以上単離し、その分解能の検討から、多くの菌株においては汚染に用いた3種化合物の全部又は一部を少なくとも部分分解する能力を備えていた。
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