研究課題
植物生育促進菌類(PGPF)のCladosporium sp. とAmpelomyces sp. 由来の2種の揮発性成分(VOC)が、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において病原菌(Pseudomonas syringae pv. tomato (pst) DC3000)の感染に対する耐病性誘導を引き起こせることを見いだした。これらの活性を持つVOCの主要成分として、2種類の新規な揮発性化合物 m-cresol (Ampelomyces由来)及び methyl benzoate (MeBA)(Cladosporium由来)を同定し、それぞれの合成標品を用いてその効果を確認した。次に、同定されたVOCによる抵抗性誘導のシグナル伝達機構について解析を行った。SA経路、JA/ET経路に欠損を持つシロイヌナズナの変異体にm-cresolもしくはMeBA処理を行い病害抵抗性及びISRに関わる転写応答を解析した。その結果、m-cresolに対してはSA経路及びJA経路が共に関与しISRを引き起こすこと、MeBAについてはJA経路が主要であり、SA経路の関与は少ないことが明らかになった。別のPGPFであるPenicillium simplicissimum GP17-2はVOCではなく未知の水溶性の化合物によりISR活性化を行う。この分子メカニズムを解明するために、マイクロアレイを用いた転写応答解析を行った。その際、公開されている感染応答並びに植物ホルモン応答についてのマイクロアレイ情報が参照された。その結果、GP17-2処理の6時間後にSA/H2O2応答のピークが生じ、24時間後にはABA応答が現れる、ということを見いだした。これらの結果は、GP17-2処理によりSA/H2O2応答からABA応答へと、ホルモン応答が順序だって生じることを強く示唆している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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